【かいぬし手記】トルクメニスタンに違法滞在して入国禁止処分をくらった話

【かいぬし手記】トルクメニスタンに違法滞在して入国禁止処分をくらった話

 

ハイルリ クントルクメン語なの!モロくんなの!

こっけ~:「モロのかいぬし、こっけ~ですー。今回はトルクメニスタンの、かいぬし手記!」

というわけで、モロくんの今回の出番はここまでなの・・・。

 

※ トルクメニスタンの記事はこちら。

 

 

こんにちは、モロのかいぬしこっけ~です。
この記事では【かいぬし手記】の形をとって、ボクがトルクメニスタンで体験したことを書きたいと思います。
実はJUGEMに消されてしまった前身のもろたびでも小説化を試みていたのですが、三日坊主が故に、見事に最後まで書き上げることができませんでした。
いや、最後までどころか、入国するかしないかぐらいのところまでしか書けませんでした。
というわけで、今回は全編小説化などという無謀なことはせず、記録的な文章に終始して書こうと思います。
それでは拙い文章ではありますが、トルクメニスタンの記録、お楽しみくださいませ。

 

 

中央アジアの北朝鮮と呼ばれる所以

トルクメニスタンは、周囲の『なんとかスタン』と呼ばれる国と同じく、ソビエト連邦を構成する社会主義国だった。
そしてソ連崩壊後、独立国としての道を歩み出したのだが、一気に資本主義化、民主化とはいかなかった。
特に、ニヤゾフ前大統領の権力は強く、彼が逝去するまで独裁政治が行われた。
これが『中央アジアの北朝鮮』と呼ばれる所以である。(と書いたけど、トルクメ自体がマイナーすぎて浸透してないような。)

 

しかし、『独裁政治』と聞くと聞こえが悪いが、彼は大多数の国民の信頼を得ていたそうだ。
豊富な天然資源を財源に、教育費や医療費、電気・ガス・水道などの公共料金も無料らしい。
庶民から搾取して私腹を肥やすというステレオタイプの独裁者像は当てはまらない。
(だけど、自身がメロンが大好きだから『メロン記念日』なる祝日を定めるという、つんく♂もびっくりな一面もある)

 

 

旅にはカメラを。

 

 

入国が難しいトルクメニスタン

 

そんなトルクメニスタンに日本人が入国するには、ビザが必要である。
だが、その取得方法が煩わしい。
正規の観光ビザを取得するには招待状が必要であり、現地の観光会社にツアーを組んでもらい、ガイドを雇わねばならない。
そのため、かなりの高額の料金になってしまうので、貧乏旅行者にとっては別の方法を使っている。
それは、トランジットビザ(通過ビザ)を取得するというものだ。
A国からB国まで行くのに、トルクメニスタンを通りますよという建前のビザで、これなら前述の方法よりも安く済む。
ただ、そのトランジットビザの取得も、

 

・ ビザの有効期間は5日間しかない。

・ 通過ビザという性質上、入国日と出国日は完全に日付指定。

・ さらに、トルクメニスタンの前の国と後の国のビザも事前に取得が必要。

・ ビザが下りるまでに最低でも1週間以上かかり、謎の原因によって許可が出ないことも。

(※ ビザに関しては取得する大使館や時期によって一概には言えません。)

 

と、一筋縄ではいかないのだ。
ボクはキルギスにて、トルクメニスタン前後の国であるウズベキスタンとアゼルバイジャンの入国ビザを取り(それも各1~2週間かかった)、その後タジキスタンを経てウズベキスタンに入国した後、トルクメニスタン大使館でトランジットビザを申請した。(訳が分からない文章だと思いますが、それだけ複雑なのだということだけ理解してもらえれば)
しかし、言われた通り1週間後に再度大使館へビザを受け取りに行ったらまだできていないと拒否されてしまった。
国境でビザを受け取ることを何度も何度もお願いすると、根負けしてくれたのか国境で発行してもらうことを約束してくれたのだった。
(というか、そんな職員の一存でなんとかできるのであれば、最初から断らないでほしいのだけど・・・・・・)
そして、トルクメ入国前日にここに電話をかけろと番号が書かれたメモをもらった。
ボクはウズベクのビザの期限最終日をトルクメ入国日にしていたので、もしもトルクメの国境でビザが降りなかったら、ウズベクで違法滞在になってしまう。
実際にウズベキスタン内で会い、一緒にトルクメニスタンへ行こうとした友人は、入国する前日に電話をかけると理由不明のままビザが下りないことが判明した。
(彼はまだウズベキビザの滞在期限が残っていたので、急遽別ルートで出国できたらしい)

しかも、入国前日に39度5分という熊谷市や多治見市並の高熱を出してしまい、かといってその日に出入国しないと違法滞在になってしまうので、ボクは国境へ這って向かった。
宿の情報ノートにあったトルクメに行く乗り合いワゴンが見つからなかったが、現地の人が一緒になって探してくれて、国境へ行く乗り合いタクシーを拾ってくれて、ウズベキスタンの通貨をほぼ使い切ってしまっていたボクにお金まで出してくれた。

 

なんとか国境へと到着し、いきなり前大統領の肖像画という前評判どおりのお出迎え。
事前情報で入国時に体温を測るという検査があり、追い返されるのではないかとドキドキしたが、国境では奇跡の平熱をマークした。
ありがとう、日本のお薬。
そして、各種手続きや支払いを済ませて、ボクはなんとか一人と一匹でトルクメニスタンに入国することに成功したのだった。
めでたしめでたし。

 

・・・・・・と、入国するまででいろいろありすぎるから、小説化なんて失敗するんだよね。
トルクメニスタンの中でのことは前の記事に書いてあるから、ここからは出国日まで一気にカット!

 

※ トルクメニスタンの記事はこちら。

 

 

ビザ最終日、カスピ海沿いの町・トルクメンバシへ

5日間滞在が有効のトルクメニスタン4日目の夜、ボクは首都のアシガバットからトルクメンバシへと夜行列車で移動した。
トルクメンバシからは一日に一便の”ペースで”、カスピ海を渡るフェリーが出向している。
なぜペースに引用符をつけたかといえば、決して定期便がある航路ではないらしく、時間も正確には決まってない。
だからビザの最終日に港へ向かうのは一種の賭けであり、多くの旅人は日程に余裕を持って4日目にはトルクメンバシに到着するらしいのだけど、

「これだけ入国に苦労して、ビザ代だって払ったんだから最大限いなきゃ損だ!」

と、貧乏性を越えて貧乏障害と名高いボクのケチっぷりが発揮されて、

 

5日目の朝にトルクメンバシへ到着した。
そして、港の職員さんに聞いてみると、

職員:「今晩、船は来るよ」

とのことだったので、ボクは賭けに成功した。

 

と、その時は思っていた。

 

結果としては、この記事のタイトル通り、賭けに負けてしまったのだけど。

 

 

お気に入りの服で旅に出よう!

 

 

その日の晩、フェリーは来た! だが・・・

 

乗船名簿の2番目に名前を書き、(後々見てもこの船に乗る外国人はボクだけで、あとは現地人だった)、残りのお金を日持ちする食料などに換えた。
せっかくカスピ海にいるのだから、ヨーグルトを買ってみたり。

 

いつ船が来るかもわからないのでフェリーターミナル内で暇をつぶしていると、日が沈んだ頃、大きなフェリーが入港した。
もともと名簿の2番めではあったが、出国審査官の人が気を利かせてくれたのか、一番最初に名前を呼ばれた。
簡単な荷物検査、そして出国審査を行い、パスポートにあるトルクメニスタンビザの上に出国スタンプを押す
そして、「またトルクメニスタンに来いよ!」と手を振られて、ボクはフェリーへと向かった。

 

フェリーは近くで見ても大きく近代的で、これなら航海も安心だと思って乗り込むと、乗組員の人がボクを静止した。
何を言っているかボクはわからなかったが、パスポートのビザや出国スタンプを見せても、全く乗せてくれる気配がない。
仕方なくターミナルへ引き返し、出国審査官(僅かに英語ができる)の人を呼んできた。
何やら口論になる船員と出国審査官。そして、しばらく粘っていたが、出国審査官は申し訳なさそうにボクにこういった。

 

審査官:「オンリー カルゴ」

 

旧ソ連を旅してきて、ロシア語圏の人は片言の英語で話すときに、伸ばす”R”をそのまま発音すると知った。
例えば『army』を『アルミー』と読んだり。
つまり、カルゴはカーゴ。カーゴといえば、日本語で貨物。船を指さしながら言っているということは、貨物船。

 

そう、どうやらこの船は貨物船なので、乗客を乗せないということらしいのだ!

 

 

 

 

来た船に乗れず、違法滞在が決定

 

出国審査官の人がどれだけ交渉してもダメだったので、ボクは三度ターミナルへと戻った。
他のお客さんもそのままだったので、ボクが外国人だからとか、そういう扱いではないようだ。
しばらくして、出国審査官の人がやって来て、Google翻訳を使いながらいろいろ説明くれた。

 

「こんなことになってしまって申し訳ない」

「だが、あなたのビザの期限は切れてしまった」

「あなたは320ドルの罰金を支払う」(ここでボクが声を上げようとしたら、手で静止された)

「もしくは、3年間の入国禁止処分を選ぶ」

「どちらにする?」

 

 

トルクメニスタンは、とてもいい国だった。
地獄の門をはじめ、首都の真っ白な建築群など、面白いものをいっぱい見た。
日本という珍しい国からの来訪者に、多くの人は歓迎してくれた。
まだ本調子じゃないボクに料理を作ってくれたホテルのおばあちゃんや、ヒッチハイクで数時間の距離を乗せてくれたドライバーさん。
今回の件だって、自分に非があるわけじゃないのに「Sorry」と謝ってくれる出国審査官の人。
本当に、トルクメニスタンはいい国だった。
だけど、

 

「じゃあ、入国禁止処分の方で」

 

いやー、流石に300ドル超の罰金は痛いっしょ。
トルクメニスタンは、多分もう二度と来ることはないだろうし。

こうしてボクは、いたって合理的な判断で、入国禁止処分という罰則を受け入れることにした。

 

 

 

 

ただフェリーを待つだけの時間

 

ボクと同じくフェリーを待つお客さんは20名ほどいて、みんなでターミナルの中で一晩を越した。(寒い季節じゃなくてよかった・・・)
みんなボクの事情は知っているみたいで、色んな人が入れ代わり立ち代わりパンやサラミやお茶をくれるので、現金を使い果たしたけど食べ物に困ることはなかった。
出国審査官の人の言う通りに反省文? みたいな書類を書き、2枚目のトルクメニスタンビザが発行され、その横には

 

読めないけど日付で考えるに、3年間入国禁止処分というスタンプを押された。
一応違法滞在の身なのでフェリーターミナルの敷地外には行くことができないので、

 

港の中を散歩して、そしてなぜかその当時持っていたウクレレなどを弾きながら次の船を待った。
その日の夕方になっても船は来ず、そして日付が回ろうかというところで、ようやくやって来た。
ボクの2枚目のトルクメニスタンビザの上に、2回目の出国スタンプが押され、2度目のお見送りを受けた。

 

そして、恐る恐る船に近付いたが、今回は静止されることもなく、問題なく乗船することができた。
一人部屋だと料金が高くなるが、ターミナルでよくしてくれたおじちゃんと同室になり、二人部屋料金を支払い乗船。
こうして午前2時頃、日付が変わったので滞在日数にして7日目、ボクはようやくトルクメニスタンを後にしたのでした。
めでたしめでたし。

 

 

 

 

世界最大の湖・カスピ海を渡る

そういえばまだ書いていなかったけど、ボクが行った当時のトルクメニスタンは、旅人用のネット環境がなかった。
現地の人は携帯電話を使っていたし、なんとLINEのアカウントを聞かれて交換したりもしたのだけど、外国人は一部の高級ホテルでしか使えないらしい。
だからトルクメの情報は前の国であらかじめ仕入れて置かないといけなくて、先人たちのブログを見てたのだけど、それによるとこのフェリーはアゼルバイジャンへ着いても、入港までに何十時間と待たされたりするのだとか。
さて、夜中に乗船したフェリーは部屋に入るなりすぐ寝たボクが気付かないうちに出港し、起きた頃にはカスピ海の洋上(湖上?)。
カスピ海の上でヨーグルトを食べながら、幸い食料はまだそこそこあるし、同室のおっちゃんが次から次へとくれるので大丈夫だろうと思っていた矢先、なんともう入港するので下船の準備をするように言われた。
乗船から下船まで、なんと14時間くらい。あれ、数十時間かかるんじゃ・・・。
そんなわけで船内探検もあまりできないまま、一晩の夜行バスくらいの体感で、ボクのカスピ海航海は終わりました。
めでたしめでたし?

 

 

そんなわけで10ヶ国目のアゼルバイジャンへ到着。
首都のバクーは近未来な大都会で、長らく中央アジアにいたボクにとってカルチャーショック。
ショッピングセンターがあるよ! エアコンが入ってるよ!
1週間ぶりにインターネットに繋いで見れば、文明開化の音もとい多数の通知音。(ほとんどは迷惑メール・・・)
中央アジアは楽しいけれど、やっぱり自分には科学文明と便利な生活が一番だと身に沁みてわかったのでした。
今思えばこれが帰国後の住処に東京を選んだことにも繋がるのかもね。

ちなみに、スタンプの写真でお気付きになった人もいるかもしれませんが、入国禁止解除の日付は2018年10月18日。
つまり、この記事を公開した今日、ボクは晴れてようやくトルクメニスタンに再入国することができるようになります。

 

・・・・・・まぁ、もう行く機会はないだろうけど。

 

他にも入国禁止になっている国があったり、実際に罰金を払わされたりした国もあるのですが、それはまた別の記事で。
個人的に危ないことや良くないことを武勇伝として嬉々と話す系旅人は嫌いなのですが、改めて振り返ると結構波乱万丈な旅だったんだなあ。

 



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こっけ~:「というわけで、『トルクメニスタンに違法滞在して入国禁止処分をくらった話』でした!」

字面だけ見ると大変そうだけど、結果として何事もなくて(?)、よかったなの!

こっけ~:「もちろん、ちゃんと規定通り出国しようと思っての不慮の結果で、それを出国審査の人も汲み取ってくれた故にだと思うから、トランジットビザを悪用するようなマネだけは絶対にしないでね!」

 

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