【かいぬし手記】アフガニスタンの姿を見て思ったこと

【かいぬし手記】アフガニスタンの姿を見て思ったこと

※ 当記事は2015年10月27日に投稿されたものを、転載したものです。

よって、文章中に出てくる年数に関する表現は、2015年に準じます。

 

 

 

タジキスタンのワハーン回廊をジープで走っている途中、

 

 

国境の川の対岸で、輪になってタバコを吸っているアフガニスタン男性たちを見かけた。
頭にターバンのようなものを巻いているようにも見えて、いかにもアフガニスタン人といった感じだ。

 

 

河原では子どもがじっとこっちを見ていた。
アフガニスタンという国からタジキスタンは、どのような姿でその目に映っているのだろう。

 

 

 

久しく耳にしていなかったのに、タジキスタンに入ってから頻繁に聞く言葉がある。

 

タリバン

 

という単語だ。

日本でそれをよく聞いていたのは、いつ頃の事だっただろうか。
アメリカの同時多発テロの頃に、タリバンという語句を耳にしていた気がする。

 

時事ニュースの言葉というのは、誤解を恐れず言えば流行語のようなものだと思う。

ある時期に短期間で集中して使われて、年末にその年の世相を振り返るときに使われたらもうおしまい。
翌年以降は使われない。なぜなら、新しい時事問題と流行語がどんどん生まれてくるから。
だからボクの中での”タリバン”は、テツandトモやギター侍同様、かつて一世を風靡した言葉、言うなれば死語として処理されていた。

 

しかし、ここタジキスタンでは、その単語は日常的な語句として用いられていた。
「タリバンが活動しているせいで、アフガンマーケットが開いていない」とか。
「最近はタリバンが国境付近まで勢力を伸ばしているらしい」とか。
「あそこに見えるのはタリバンのジープじゃない?」というブラックジョークとか。

 

タジキスタン南部において、タリバンという言葉は死語だなんてとんでもない、まさに今も生きている言葉だった。
外務省が出している海外安全情報で、ここワハーン回廊はレベル4、一番危険な”退避勧告”が出ている地域だ(当時)。
これがアフガニスタン国内であれば、自分の生活の存亡、生命の是非に関わる言葉なのだろう。
しかし、現在の日本でそれを聞くことはほとんどない。
日本人が直接被害にでも合わないかぎり、アフガニスタンの現状が日本国内で報道される機会は極めて少ないだろう。

 

 

 

タジキスタンでワハーン回廊を旅していると、国境の川を挟んで反対側にアフガニスタンの村をいくつも見ることができる。

 

 

村は緑豊かで畑のようなものも多く見える。
いわゆる牧歌的な風景で、この一面からはとても危険な地域だとは思えないくらい平和な光景だ。
村があるのだから、当然人だって見かけることができる。

 

 

乗用車に乗り込もうとする男性たちや、

 

 

牛と一緒に畑を歩いている女性、

 

 

子どもを乗せた馬を連れて歩くのは家族連れだろうか。
人々も日常的な生活を営んでいる姿が見られるだけで、やはり治安が悪いだなんて信じられない。

 

タジキスタン側でも、向こう岸とほとんど変わらない風景が広がっている。
ボクのようにこうやって旅行者が旅をすることも許されているし、

 

 

ヤギたちも普通に歩いている。

 

 

それはアフガニスタン側でも同じだった。

 

 

牛に至っては、国境の川を渡っているものもいた。
ここまでくると国境とは、国とは一体何なのだろうという気になってくる。
地図アプリの情報が正しければ、一部川の内側に国境線がある地域があった。
だからジープがそこを通った瞬間ボクは、一瞬アフガニスタンに入国したことになる。

 

1年前は、アフガニスタンの北部や一部地域であれば、旅をすることが可能であったらしい。
アフガニスタンを旅していた人の情報はいくつか見つかったから、行ってみようかと考えていた。
しかし現在は情勢が変わり大使館でビザが下りない、つまり実質的に入国が不可能だと聞いた。

 

3年前は、イラクのクルド人地域であれば、旅をすることが可能であったらしい。
そこへ行った人の話では人々はみんな優しくしてくれたらしいので、行ってみようかと考えていた。
しかし現在は、かのISILが妖々跋扈しているエリアであり、あまりにも危険過ぎる地域になってしまった。

 

10年前のシリアは、とっても旅がしやすい地域だったらしい。
世界遺産などの見どころもあり、人も物価もよく、旅する人たちが上位に挙げるような国だったらしい。
しかし内戦や海外の軍隊の介入を経て、現在はここもISILの繁殖地になってしまっている。(※ 最下部の追記にて後述)

 

ボクは10年前から旅の準備をしていたから、行こうと思っていた国に行けなくなるのを多く見てきた。
その国が魅力的であればあるほど、行けなくなったのが残念でたまらない。
もっと早く旅に出ていれば行けたのに、と思わざるを得ない。

 

しかし、行けなくなる国もあるが、行けるようになった国もある。
例えばここタジキスタンのパミールは、7年前の本だと入域は基本的に不可能との事だった。
ベリーズやカザフスタンといった国々も、つい最近まではビザが必要だったのが免除になった。
世界の情勢は日々刻々と変化している。それならば。

 

アフガニスタンに入ることができる日も、またきっと来るだろう。
もしそんな日が来たら、ボクはぜひ行きたいと思う。
首都カブールの賑わいや、破壊されたバーミヤン遺跡、マザリシャリフの美しいモスクを見てみたい。
そして歳を取ったボクは、アフガンで出会った若い旅人にこういうだろう。
「☓年前のアフガニスタンは、とても危険な地域で入国することができなかったんだよ。
だから、こうして今訪れることができるのは、とても幸せなことなんだよ」、と。

 



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※ 追記

2018年3月現在、ワハーン回廊の海外安全情報のレベルは3に下がった。(とは言え、”渡航中止勧告”だ。)
イラク、シリアにいたISILは各国の掃討作戦で壊滅状態になっているが、その反面新たな紛争が生まれつつある。
反対にアルメニアやウズベキスタンのように、日本人にとってビザが必要とならなくなった国もある。
日々変わる国際情勢から目が離せない。

 

 

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