【日常短編小説】ある日の4人 ~9月~

【日常短編小説】ある日の4人 ~9月~

 

こんにちはなの! モロくんなの!

こっけ~:「モロのかいぬし、こっけ~ですー。土曜日は小説の日~」

今回は、かいぬしさんが学生時代に書いた短編小説をお届けするなの!

 

※ これまでの小説はこちら

 




 

 

 

ある日の4人 ~9月~

 

 

 

 

 

「遊園地だー!」
「いぇ~い!」
「葵もあやめも、いつもに増してテンション高いわね」
「べらんめぇ、あたぼうよ~。火事と遊園地は豊徳の華ってね~」
「・・・・・・なぜに江戸っ子?」
「しかし私も楽しみだ。このようなところに来るのは初めてだからな」
「そーなの? 涼子ちゃん」
「うむ。父上が連れて行って下さったところといえば、神社庭園などだったからな」
「うわ~。地味でつまらなさそ~・・・・・・」
「そうでもないぞ、あやめ。例えば仙台にある瑞鳳殿などは色彩も鮮やかで――」
「あ~、涼子ちんストップ! それより何か乗り物乗ろ~」
「そうね、何から行きましょうか? みんなそれぞれ希望ある?」
「ボク観覧車に乗りたいー!」
「葵ちん、そういうのは最後だよ~。やっぱ最初はジェットコースターでばびゅん!
「あやめのキャラ通りね」
「そういう美沙ちんは、キャラ的にお化け屋敷が嫌いなタイプだよね~」
「えぇ、嫌いね」
「はへ? 美沙ちゃんお化け苦手なのー?」
「そうじゃないわ。お化け屋敷って所詮は作りものだから面白くないだけ」
「・・・・・・美沙ちゃんの冷めた発言の方が面白くないよ~だ」
「あやめの言う通りだ、美沙。霊を無礼に扱うと、祟られるぞ」
「いや、涼子ちん。あたしそんなこと言ってないです」
「それじゃあ美沙ちゃんはどこに行きたいのー?」
「そうね。私は・・・・・・その・・・・・・」
「む、美沙にしては歯切れが悪いな」
「私は・・・・・・め、メリ―――」
「ま、美沙ちんだからメリーゴーランドなんて子供騙しのものなんて乗らないだろうしね~」
え!? あ、当たり前よ! 私たちもう高校生なんだから!」
「えー、ボクはスキだけどなー、メリーゴーランド」
「ま、まぁ葵が行きたいのなら、私は構わな――」
「あ、フリーフォールっていうのがあるんだってー! それ乗りたいー!」
「・・・え?」
「いいね~、葵ちん。やっぱり遊園地は絶叫系に限るよね~」
「私はよくわからないからそれに従おう。美沙もそれでいいか?」
「え、えぇ。じゃあそうしましょう。・・・・・・メリーゴーランド」

 

 

 

「・・・・・・これが、その”ふりーふぉーる”というものか?」
「そだよ~。高いところから急降下!
「あはは、怖そー!」
「みんな、考え直さないか? あのような乗り物は、心臓にとても負荷を与えてしまうぞ」
「何言ってるのさ涼子ちん、スリルを味わうために乗るんじゃんか~」
「し、しかしだな、もしも万が一あれに乗っている時に地震が起こったらどうするんだ?」
「そん時はそん時さ~」
「だがな、安全性が確認できなくては危険だぞ」
「ダイジョブダイジョブ♪」
「そうよ、涼子。建築の強度とかはちゃんと考えてあるでしょう」
「本当だろうな!? 嘘付いたら許さないぞ!?」
「そ、そんなに肩、揺さぶらないで・・・・・・」
「なんか涼子ちゃんが慌ててるー」
「もしかして涼子ちん・・・・・・怖い?」
「べ、別に私は――」

『『『『きゃああーーー!!!』』』』

「・・・・・・怖い!!」
「おぉ、涼子ちんの貴重な動揺シーン~」
「涼子ちゃん、行こうよー」
「嫌だ! 私はここで待ってる!」
「まぁまぁ~」
「そんなこと言わずー」
「こら、あやめ! 葵! 手を引っ張るな! ま、待て! 考え直せ!」
「・・・・・・あやめも葵もイキイキとしているわね」

「楽しかった~!」
「てっぺんの景色もきれいだったねー!」
「なかなかスリルがあったわね」
「・・・・・・」
「もう一回乗ろーよー」
「葵ちん、他にもいろんな乗り物があるんだから別のにしようよ~」
「そうね、次はどこに行きましょうか?」
「・・・・・・」
「あ、ここに園内マップがあるよー」
「この近くにある乗り物は・・・・・・あ、ジェットコースターがあるよ~!」
「なら次はそれにしましょうか」
「・・・!!
「あ、涼子ちゃんが脱走した!」
「こら待て~! ていっ!」
「は、離せ!」
「全く逃げ足の速いやつめ~。葵隊員、右手持ってて」
「りょーかい、あやめ隊長!」
「や、やめろ! 引っ張るんじゃない! あやめ! 葵!」
「・・・・・・まぁ、きっとこれもいい思い出になるでしょう―――3年後ぐらいに」

「怖かったー!」
「なかなかすごいやつだったね~」
「えぇ。思わず大きな声を出してしまったわ」
「あ、出口のところで写真を売ってるよー」
「あたしたちのどれかにゃ~?」
「あったわ。一番右の画面のね」
「にゃは、あたしちゃんとカメラに向かってピースしたよ~」
「あやめちゃんすごーい!」
「私は・・・・・・目をつぶってしまってるわ」
「ボクも前の手すりつかまりっぱなしだー」
「ところでさっきから『ある日の3人』になってるんだけど、もう1人は~?」
「はへ? あ、そーいえば涼子ちんが見当たらない」
「おかしいわね。降りるときにはぐれてしまったのかしら」

『お、お客様、大丈夫ですか!?』

「・・・・・・あ、コースターのとこに涼子ちん発見」
「ホントだー。係員の人に肩貸されてるー」

『お客様、お客様!?』
「すいませ~ん。そこの子引き取りに来ました~」
『お連れ様ですか? こちらのお客様がジェットコースターから降りられなくなっておりまして・・・・・・』
「ごめんなさい~、その子初めてだったもんで~」
「涼子ちゃん、ダイジョブ?」
「お手数をおかけしました。涼子、立てる?」
「・・・・・・む、川の向こうにいるのは写真でしか見たことのない曾祖父ではないか。私を呼んでいるのか?」
「涼子ちん、そっち行っちゃダメ!!」

 

 

 

「涼子のために絶叫マシーンはやめましょう」
「そだね~。涼子ちんを過失致死させて前科つけたくないし~」
「じゃあどこ行くー?」
「そういえば葵、さっきメリーゴーランドに行きたいって言ってなかったかしら?」
「言ったよー。じゃあメリーゴーランドに・・・あ! あそこにお化け屋敷があるよー」
「ちょうど近くにあることだし、次はここにしよ~。涼子ちん、ここなら大丈夫~?」
「・・・・・・うむ。霊にはくれぐれも失礼ないようにな」
「声ちっちゃ! 涼子ちんのヒットポイントがかなり減ってる~」
「それじゃお化け屋敷にレッツゴー!」
「メリーゴーランド・・・・・・」

 

 

 

「なかなか雰囲気あるねー・・・・・・」
「あれ~? 葵ちん怖いの~?」
「あやめ、あなたもそう言いながらさっきから私の背中の後ろにずっとくっついているじゃない」
「にゃはは、つい~」
『ぐわぁおー!!』
「きゃー!」「ぎゃ~!」
「二人とも驚き過ぎよ、スタッフの人が扮した幽霊じゃない。・・・・・・あら涼子、どうしたの?」
「悪霊退散!!」
『ぐわぁおー!?』
「大変だ! 涼子ちんの攻撃により幽霊が違った意味の叫び声を!」
「お化けさんダイジョブですかー? 生きてますかー?」
『わ、私は幽霊なので、もう死んでますぅ・・・・・・』
「・・・・・・最後まで幽霊になりきるなんて、見上げたプロ根性ね」

 

 

 

「涼子のために絶叫マシーンとホラー系はやめましょう」
「そだね~。スタッフを傷害致死させて前科つけたくないし~」
「じゃあどこ行くー?」
「そ、そういえば葵、さっきメリーゴーランドに行きたいって言」
「あ! あそこにコーヒーカップがあるよー!」
「ちょうど近くにあることだし、次はここにしよ~。涼子ちん、ここなら大丈夫~?」
「うむ。乗り物酔いには強い方だ」
「よかった~。気持ち悪くなるオチは回避できた~」
「それじゃコーヒーカップにレッツゴー!」
「メリーゴーランド・・・・・・」

 

 

 

『それではコーヒーカップ、スタートです』
「お、動いた~」
「この、カップの中心にある輪はなんだ?」
「それはハンドルよ。これを回すとコーヒーカップがさらに回転するの」
「よーし! それじゃあ回しちゃうよー! えーい!!」
「うひゃ~~~!」
「葵、回し過ぎじゃない・・・?」
「む、ものすごい遠心力だ」
「あはは、楽し・・・・・・う!」
「あら葵、どうしたの?」
「気持ち悪い・・・・・・」
「やっぱりそのオチ!?」

 

 

 

「まったく、自分でやっといて~」
あら! あんなところにメリーゴーランドがあるわ!
「美沙、なぜ棒読み口調なんだ?」
せっかく近くにあることだし、行きましょう!
「あ、でも美沙ちんは最初に子供騙しだから乗らないって言ってたよね~」
「そ、そうだったかしら?」
「そういえば言ってたねー」
「美沙ちんパスする~?」
「でも、みんなが行きたいっていうのなら、別に乗っても・・・・・・」
「無理に乗らなくてもいいぞ。私も別に構わない」
「どうするー、美沙ちゃん? ボクも別に他の乗り物行ってもいいよー」
「私は・・・・・・」
「美沙ちんが乗りたいか乗りたくないか! さぁどっち~?」
「私は・・・・・・メリーゴーランドに乗りたい!
「子供騙しでも~?」
「わ、私だって・・・・・・可愛い物とか、そういうの好きなんだから!」
「よく正直に言った、美沙ちんよ」
「・・・・・・え?」
「美沙ちんが乗りたがっているのは最初からわかっていた。だから美沙ちんの意思を確かめたかったのだ」
「な、なんでそんなことを・・・・・・」
「強がっているフリをしたまま乗れば、美沙ちんは心の底から楽しめないに違いない。だからあたしは乗る前にその心にある枷をとっておきたかったのだよ」
「そうだったの、あやめ・・・・・・。だから毎回メリーゴーランドを避けるようなことを・・・・・・」
「はへ? さっきあやめちゃん、美沙ちんのキャラを崩したいからって協力してって言ってなかったっけー?」
「ちょっと葵ちん! バラしちゃダメ!!」
「・・・・・・あやめ」
「ち、違うよ? 美沙ちん。あたしは――」

「ぎゃああああ!!!!」

「さて、あやめは少し休みたいようですし、三人でメリーゴーランドに乗りましょうか」
「う、うん。そだねー」
「う、うむ。そうするか」

 

 

「~~~♪」

「楽しかったわ!」
「美沙ちゃん輝いてるー」
「よほど乗りたかったのだろうな」
「当たり前よ! 遊園地といえばメリーゴーランドと言っても過言ではないわ!」
「そ、そうなのか? 葵?」
「ううん、初耳ー」
「それじゃあ時間も時間ですし、あやめを拾って最後に観覧車でも乗りましょうか」
「あたしは空き缶か!」

 

 

 



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