【日常短編小説】ある日の4人 ~10月~

【日常短編小説】ある日の4人 ~10月~

 

こんにちはなの! モロくんなの!

こっけ~:「モロのかいぬし、こっけ~ですー。土曜日は小説の日~」

今回は、かいぬしさんが学生時代に書いた短編小説をお届けするなの!

 

※ これまでの小説はこちら

 

 




 

 

 

ある日の4人 ~10月~

 

 

 

 

 

 

「体育祭日和だー!」
「えぇ、綺麗に晴れたわね。さすが”青空祭“と呼ばれるだけはあるわ」
「はへ? あおぞらさい?」
「あら、青陽学園高校では体育祭のことを青空祭と呼ぶのよ。前に説明しなかったかしら?」
「そーだったっけ? でもなんかボク、燃えてきたよー!」
「すごいやる気ね、葵」
「えーだってなんかワクワクしない?」
「そんな遠足前の子供じゃないんだから。まさか昨晩眠れなかったなんて言わないわよね?」
「なんで美沙ちゃんわかったの!? エスパー?」
「・・・・・・本当に?」
「ところで美沙ちゃんは何の競技に出るんだっけ? 男女混合リレーはボクと同じだったよね?」
「えぇ、私は男女混合リレーと1000m走に出場するわよ」
「1000m走かー、応援するね!」
「ありがとう、葵。あなたは男女混合リレーの他には何に出るの?」
「あやめちゃんと一緒に”パン食い二人三脚競走”に出るよ!」
「あなたたち二人だったら息がぴったりそうね」
「あはは、なんたってボクたち『ダブルエー』ですからー」
「ダブルエー・・・?」
「美沙ちゃんが付けてくれたんだよ。ボクたち二人ともイニシャルがAだからって」
「あぁ、そういえばそんなことも言ったわね」
「そういえばあやめちゃんと涼子ちゃんはどこだろ? 二人もリレーの選手だから練習したいのにー・・・・・・」
「あなた、その情熱が少しでも勉強に向けばいいのだけど」
「それは言わない約束でしょー」
「確か涼子は生徒会役員だから準備をしているわ。でもあやめはどうしたのかしら?」
「遅刻かなー?」
「確かにあの子は遅刻が多いけど、葵と同じでこういう行事にはやる気出しそうなのに・・・・・・」
「・・・・・・あ、ちょうど来た! あやめちゃんー!」
「あ、葵ちんと美沙ちん! おはよ~!」
「おはよう、あやめ。意外に遅かったわね、寝坊かしら?」
「ふっふっふ、この青陽学園高校の韋駄天ことあやめ様をなめてもらっちゃ困るよ、美沙ちん」
「あやめちゃんってそんなあだ名あったっけ?」
「あたしは今朝、走り込みして最終調整してきたんだから~」
「あやめちゃんかっこいー!」
「にゃはは、一応陸上部に入ってるから絶対に負けられないしね~」
「あやめは走るのだけは得意だものね」
「だけってなに! だけって!」
「でも体育で100m走やった時、あやめちゃん1番早かったもんねー」
「そういう葵ちんだって2番目だったじゃんか~。あたしたち二人が組めば、”パン食い二人三脚競走”もいただき!」
「うん、いただき! 何パンかなー、ボクメロンパンがいいなー」
「あたしはあんぱんがいいな~・・・・・・って『いただき』の意味間違えてるよ、葵ちん!」
「お、三人とももう来ていたか」
「あ、涼子ちゃんおはよー!」
「うむ、みんな調子はどうだ?」
「バッチリだよ~、青空祭のためにしっかりコンディション整えて来たんだから~」
「そうか、あやめには期待が持てそうだな。今日は絶対に勝とう」
「あら涼子、いつも冷静なあなたにしては珍しく熱いのね」
「勝負事とあらば負けたくないからな。特に私たち4人が出場する男女混合リレーなんだが、青空祭の華とも言える競技だ」
「プログラムでも最後だったもんねー」
「あぁ。そして唯一男女混合で行うリレーということで、得点も他の競技も倍だということだ」
「なるほど、それで出場種目を決める時にクラスで足の速い人たちが選ばれたのね」
「あたしたち4人とも足速いもんね~」
「ぜひ優勝を目指そう」
「でも涼子、相手には2、3年生のクラスもあるのよ。そう簡単には勝てないわ」
「だよね~。ま、あたしはあんぱんが食べれればいいけどねん」
「そういえばまだ公表されてないが、優勝したクラスには副賞として学食のチケットが配られるそうだ」
「みんな~! 今日は絶対に優勝するよ~!!」
「きゃあ! あやめ、急に叫ばないでよ!」
「あはは、勝つぞー!」

 

 

 

 

<さて、次の競技は”パン食い二人三脚競走”です!>

「む、あの二人が出るようだぞ」
「えぇ。・・・・・・あら? 他に出場するのは男子ばっかりよ?」
「うむ、この競技は男女どちらでも参加できるからな」
「そういうことね、たいていは食べ物につられて男子が出るのだけど――」
「私たち1年8組の場合、食欲旺盛なのはあの二人だったということだな」
「まったく、あの二人ったら食欲だけは人一倍ね」
「そうだな。二人がスタートラインに着いたぞ」

 

「あ! あっちにメロンパンがあるー!」
「葵ちん、あれ端っこだから遠回りになっちゃうよ~!」
「でもメロンパン食べたいー」
「いい? 葵ちん。ここでメロンパンを取るよりも、青空祭で1位のクラスは学食のチケットをもらえるんだよ~?」
「むー、それも捨てがたい」
「ここは辛抱よ、メロンパンは今日の放課後食べに行こ!」
「わかったー!」
『位置について! ヨーイ―――』

 

「始まったな」
「葵、あやめ! 頑張・・・って」
「・・・・・・なんだ、あれは」
「・・・・・・応援するまでもないわね」
『おい、見ろ! あそこの1年女子二人、二人三脚なのにまるで普通に走ってるようなスピードだぞ!』
『ああ! しかも、パンを食べるのが早い! 口に入れたと思ったらもう食べ終わってるぞ!』
「あの二人に、少しは女の自覚ってものはないのかしら・・・・・・」

 

 

 

 

<続きまして、女子1000m走です!>

「美沙ちゃんの番だ! 美沙ちゃん、ガンバってー!」
「学食のためにがんばって~!」
「・・・・・・現金なやつだな、あやめ」
「にゃは、現実的といって~」
『神楽ー! 頑張れよー!』
『美沙ちゃん、俺が着いてるぞ~!』
「ねーねー、なんか応援する人が多くない?」
「というか他のクラスの男子まで美沙のことを応援しているな」
「美沙ちんは学園のアイドルだからね~」
「あ、スタートした!」
「8人中6番目、か」
「でもなんか余裕そうだねー」
「美沙ちんもっと真面目に走ってよ~、学食のために!
「いや、きっとあれは美沙の作戦だ。1000mあるから後半飛ばすつもりなんだろう」
「なるほどー」
「さすが美沙ちん! 戦略家!」
『おい、見たか? 神楽の超揺れてんじゃん! すげぇ!』
『うひょ~! ナイスバディー! 目の保養になるな!』
「・・・・・・あのような邪な考え、制裁せねば。どこかに竹刀はないか?」
「りょ、涼子ちんストップ! 気持ちはわかるけど、まだ殺すには早いよ~!」
「殺しはしない。半殺し、だ」
「怖っ!!」
「あはは、美沙ちゃんって人気者だなー」
「葵ちんはいつもマイペースだね・・・・・・」

『『ぎゃあ~~~~!!!!』』

 

 

「美沙ちんお疲れ~!」
「ふふ、ありがとう」
「後半の追い上げ、見事だったな。3年生の先輩を抜いて1位になるとはさすがだ」
「本気で走ったからさすがに疲れたわ。・・・・・・あら? そこでのびてる男子二人はどうしたの?」
「これはねー、そこのカラーコーンで涼子ちゃんが――ふがが!」
「いや、なんでもないぞ美沙。気にすることはない」
「・・・・・・大体想像はついたわ」

 

 

 

 

<午前の部、ラストは男子800mリレーです!>

「あ、翼が出るやつだ! 翼ー! ガンバれー!
「美沙ちん、雅志っちも出てるよ~? 応援しなくていいの~?」
「な、なんで私が雅志を応援しなくてはいけないのよ!」
「幼馴染なのだから応援してあげればいいではないか」
「涼子まで・・・・・・。わかったわよ、応援すればいいんでしょ! ・・・・・・雅志、頑張りなさいよ!
「素直じゃないんだから~、にやにや」
「にやにやしない! というか擬態語を口に出さない!」

 

 

「―――さて、いよいよ青空祭最後の種目、男女混合リレーだな」
「あれ? お昼ご飯とか涼子ちゃんの出場シーンは?」
「あやめ、一体何のことだ?」
「あ、いやなんでもない~。・・・・・・せっかく書いたのに、カットされちゃったのかな?」
「・・・・・・む?」
「うー、ドキドキするー・・・・・・」
「リラックスよ、葵」
「う、うん。だけどこんなに見てる人多いと緊張しちゃうなー」
「だが葵、既に一度出場してるではないか」
「さっきはあやめちゃんと一緒に走ったからー。でも今度は一人で走るしー」
「緊張する気持ちはわかるわ。なんといっても最後の競技だしね」
「うむ、しかも私たち1年8組の得点は3位。このリレーの結果次第では優勝を狙える位置にある」
にゃ!? そうだったんだ!」
「あら、あんなに学食のために頑張ってたのに知らなかったの?」
「にゃはは、クラスのみんなががんばってるのみたら途中で忘れちゃった~。でも今はそれよりも、勝ちたい!」
「せっかくここまで来たんだから優勝したいねー!」
「ただ、2位とは得点差が少ないけど、1位の3年3組とは少し開いているわ。もし仮に私たちが男女混合リレーで1位を取ることができても、3組の順位次第では・・・・・・」
「そうだな。だが優勝できる可能性がないわけではない」
「涼子ちんの言う通り! あたしたちはまず1位を取ろ~!」
「それもそうね、他のクラスは気にしないで私たちは全力を尽くしましょう」
「ダイジョブダイジョブ♪ ボクたちならきっと勝てるよー!」
「あぁ、頑張ろう、みんな!」
「「「「おー!!」」」」

 

 

<さぁ、青空祭もいよいよクライマックス、男女混合リレーがやってまいりました! 会場、のってるかい!?>

「「「「いえーーー!!!!」」」」

<それではルールを説明します! 全24クラスを得点の低い順に、8クラスずつ分けます!>

「へー、うちの学校そんなにクラスあったんだー」
「葵ちん、今ストーリーのいいところなんだから口をはさまない!」

<得点は他の競技の倍! 一発逆転も大いにありえますよ~!>

「盛り上がってきたわね」
「うむ、運動場も熱気に包まれているな」

<それでは第1レースのみなさん、レーンに入ってください!>

「えーっと、ボクたちのクラスは今得点3位だから、最後の第3レースだねー」
「同じレースに出るのは3年生が5クラス、2年生が2クラス。1年生は私たちのクラスだけだな」
「男女4人ずつが、それぞれトラックの半周、100mずつ走るんだけど、最後のアンカーは300m走るんだったわね」
「おぉ、読者さんにわかりやすい端的な説明ありがと~!」
「読者?」
「あ、気にしないで~」
「・・・・・・とにかく、私たちは1位を目指しましょう」
「うむ。私たちのクラスの男子4人は精鋭揃いと聞いている。私たち女子4人が足を引っ張るわけにもいくまい」
「ボクたちのクラスは男女交互に走るんだよね?」
「そうよ。前に説明した通り、テイクオーバーゾーンを使って女子は少しでも短く、男子は少しでも長く走る作戦よ」
「いくらあたしたちの足が速くても、男の子には勝てないもんね~」
「えぇ。もう一度確認しておきましょう。まず先頭のあやめが向こうにいる仙崎君にバトンをパスする」
「仙崎君は翼と同じサッカー部で、足が速いんだよねー」
「ふむ、そして彼からのバトンを3番手である私が受け取り、次の走者である鶴本君に渡すのだったな」
「第5走者の私は鶴本君からバトンをもらって、6番目の雅志に――」
「にやにや」
あやめ! あなたって人はこんな時に・・・!」
「美沙、落ち着くんだ。あやめもあまりからかうな。・・・・・・そして美沙が後藤君に回したバトンを葵が受け取るんだ」
「ボク・・・・・・ホントに7番目でいいのかな?」
「葵ちん~、遅かれ早かれ走るんだから何番目でも同じだよ~」
「そうよ葵、気負うことはないわ。そして最後はあなたがアンカーの中田君にパスするの」
「彼氏へ愛のバトンパス! なんちゃって~」
「ボクが翼に・・・・・・うん。ボクガンバる」
「どうやら現在得点が2位の3年5組は女子4人が前半、男子4人が後半を走るようだな。後半の追い上げに注意だ」
「得点1位の3年3組は私たちと同じ、男女交互のようね」

<第2レースの結果は、1位、3年1組。2位、2年6組・・・>

「あ、第2レースが終わったよ~。ついにあたしたちの番だ!」
「き、緊張するー・・・・・・」
「葵、楽に行くんだ、といってもそう簡単に切り換えられるものではないな」
「そうね、まぁレースが始まればなるようになるでしょう」

<第3レースに出場する最初の走者と第2走者はそれぞれ位置についてください>

「それでは上田 あやめ、行ってまいります~!」
「あやめ、頑張るのよ!」
「期待しているぞ」
「あやめちゃん、ガンバって!」
「うん、みんなもね! トラックの向こう側で待ってるよん」

『位置について! ヨーイ―――』

「スタートしたぞ!」
「ファイトよ、あやめ!」
「すごーい! あやめちゃんトップだー!」
「さすがは陸上部員だな。それでは私はレーンに入るぞ」
「うん、涼子ちゃんいってらっしゃい! ・・・・・・あれ? あやめちゃんのペース落ちてるかも?」
「あやめは瞬発力はあるけれど、トップスピードは上級生の方が上回っているようね」
「あ、二人に抜かれちゃった!」
「でもまだ3位よ・・・・・・よし、仙崎君にバトンが渡ったわ」
「あやめちゃんお疲れ! ・・・・・・わぉ、次の仙崎君も速ーい!」
「えぇ。でも先頭と2番手の先輩も速いわ。・・・・・・あら、先頭は得点1位の3年3組じゃない!」
「やっぱり強いねー」
「仙崎君が直線に入ったわ! テイクオーバーゾーンのギリギリまで粘って・・・!」
「涼子ちゃんにバトンが渡った! 涼子ちゃんガンバれー!」
「涼子、ファイト! ・・・・・・あ、お疲れ様、仙崎君」
「お疲れー!」
「あぁ、ありがとう」
「それじゃ葵、私はレーンに入るわ」
「え! あ、うん、そっか」
「そんなに緊張しないで。大丈夫よ」
「う、うん・・・・・・」
「・・・あまり固くなるな、日向」
「仙崎君・・・・・・。でも、ボクが追い抜かされちゃったら・・・・・・」
「もし日向が抜かれても、翼は俺たちサッカー部員の中でも特に足が速いしスタミナもある。あいつが最後の300mで逆転してくれるさ」
「・・・・・・そっか。翼がいればダイジョブダイジョブ、だね!」

 

「上田さん、ナイスランだったよ」
「にゃはは、最後抜かれちゃったけどね~。その点鶴っちは陸上部で先輩と渡り合ってるし安心だね~」
「さて、どうかな。じゃあ行ってくるよ」
「行ってら~。あ、雅志っち」
「おす、上田。お疲れさん」
「ありがと~。雅志っちは美沙っちからバトンをもらうんだよね?」
「ああ、そうだけど」
「にやにや」
「・・・なんだよ、そのにやけ顔は」
「べ~つ~に~」
「・・・・・・」
「上田は相変わらずだな」
「お、クラスの命運握るアンカー、翼っち!」
「あまりプレッシャーかけないでくれよ」
「あ、涼子ちんが来た! 涼子ちん~! あとちょっとだよ~!」
「よし、鶴本がバトンを受けた! ・・・やっぱあいつ、陸上部だけあって速ぇな」
「鶴っちはあたしたち青陽学園高校陸上部の期待の星ですから~。あ、涼子ちん!」
「役目は果たしたぞ」
「さすが涼子ちん、疲れてても台詞がカッコイイ!」
「お疲れ、本多。そんじゃ俺、レーンに行ってくるわ~」
「うむ、ありがとう。後藤君も頑張ってくれ」
「後藤、お前ならいけるぜ」
「雅志っちがんば~! 美沙ちんから愛のバトンを受け取るんだ~!」
「あやめ、彼の集中の妨げとなる言葉はよせ」
「にゃはははは」
「お、鶴本が向こうで神楽にバトンパスしたぜ」
「順位は2番手か、いい位置につけているな」
「でもトップは得点1位の3年3組だよ~! 抜かさなきゃ!」
「それに第5走者になったから、男子4人を後ろに固めた3年5組がこれから差を詰めてくるぜ!」
「美沙ちん、ファイトー!」
「あと一息だぞ、美沙!」
「神楽、負けるな!」
「美沙ちんが雅志っちにバトンをパス! ・・・・・・あ!」
「しめた! 先頭の3年3組がバトンを落としてる!」
「ついに1位になったぞ!」
「雅志っち行けー! わぁ、雅志っちも速い!」
「後藤は短距離走、クラスの男子で俺と一、二を争う足の速さなんだぜ」
「・・・・・・えぇ、それに野球部でも雅志は俊足なのよ」
「あ、美沙ちん! お疲れ!」
「美沙のおかげで1位になったぞ!」
「いえ、あれは先頭の3年5組のミスがあったから・・・・・・」
「それでも3年生相手に十分戦ったよ、神楽」
「ありがとう、中田君。アンカー、頑張ってね」
「葵ちんからバトンをもらってラブパワー全開だ!」
「頼んだぞ、中田君」
「おぅ、任せとけ!」
「雅志っちがトップをキープしてるよ!」
「うむ、だが男子4人を後半にした3年5組がかなり追い上げてきているな」
「えぇ、しかも得点2位の3年5組の第7走者は男子、葵の足がいくら速くても男子には太刀打ちできないわ」
「それにバトンを落とした3年3組もまだ2位を走ってるよ~!」
「その3年3組の第7走者は・・・・・・あ!」
「ん、どしたの美沙ちん?」
「・・・・・・第7走者、お姉ちゃんだ」
「美沙の、姉上?」
「お姉ちゃんは・・・陸上部から何度もスカウトが来たけど断ったんですって」
「にゃ!? 2番手のクラスがそんなすごい人だなんて、まずいよ!」
「ちょっと、いや、かなり分が悪いわ」
「だが、私たちは葵を信じるしかない」
「うん、葵ちんを信じよう!」
「えぇ。でも。葵・・・・・・大丈夫かしら?」
「どうしたのだ、美沙」
「さっき私が向こうで葵と別れた時、葵すごく緊張してたから・・・・・・」
「あ、雅志っちが葵ちんにバトンをパスしたよ!」
「葵、頑張れ!」
「お姉ちゃんにもバトンが回った・・・!」
「ホントだ・・・・・・ってにゃにゃ!? 美沙ちんのお姉さん速すぎ!」
「葵との差がみるみる詰まっていくぞ・・・!」
「葵、逃げきるのよ!」
「うぅ・・・・・・。あの速いはずの葵ちんが遅く見えてくるよ~」
「それだけ美沙の姉上の脚力が圧倒的なのだろう」
「お姉ちゃんに負けないで! 葵!」
「もうすぐ直線! 葵ちん! あと少しだよ!」
「だがすぐ後ろに美沙ちんの姉上が! 並ばれてしまう!」
「こうなったら抜かれてもあまり差が開かないうちに中田君に・・・・・・あ!」
「にゃ!?」
「む!?」

<お~っと! ここで先頭の1年8組の選手が転倒! それにぶつかって2番手の3年3組も派手に転倒だ~! 大丈夫か!?>

「葵ちん、転んじゃった! ・・・・・・あたし行かなきゃ!」
「ちょっとあやめ・・・! 私も行くわ!」
「む、私だって・・・!」

 

 

「いてててて・・・・・・」
「・・・・・・葵ちん! だいじょうぶ!?」
「あやめちゃん・・・!」
「あと少しよ、葵! 頑張って!」
「うん・・・!」
「よし、立った! 行けるぞ、葵!」
「葵! あと少し! 俺のとこまで来るんだ!」
「翼・・・!」

<1年8組、立ち上がりました! なんとか先頭をキープしたままバトンをアンカーに・・・いや、違う!

「にゃ!?」
「・・・・・・いつの間に」
「しまった・・・・・・」

<ここで3年5組がこの機に乗じて一気にトップに躍り出ました!>

「葵! 早くバトンを!」
「・・・・・・翼!」

<1年8組、アンカーにバトンが手渡されました! 1年8組の第7走者、その場に倒れこみます!>

「葵ちん!?」
「ボクなら、ダイジョブダイジョブ・・・・・・」
「葵・・・・・・歩ける?」
「う、うん」
「葵、あやめ、美沙。ゴール側へ向かおう」
「りょーかい! グラウンドを突っ切ってみんなと一緒に翼っちを待とう!」
「えぇ!」

<先頭は3年5組、それを追う1年8組。3番手以降は大きく離されています。1位はこの2つのクラスのどちらかでしょう!>

「日向、大丈夫か!?」
「後藤君・・・・・・せっかく先頭でバトンもらったのに転んじゃってごめんね」
「そんなの別に・・・・・・日向は悪くないよ」
「そうだよ日向さん、自分を責めないで。それにまだレースは終わってないからさ」
「鶴本君・・・・・・」
「おい、翼が1位との距離を詰めてるぞ!」

<もうすぐ最終コーナー! 1年8組のアンカー、怒涛の追い上げ! 逃げる3年5組! はたして逆転はあるのか!?>

「翼っち、行け~!」
「最後のひと踏ん張りだ、中田君!」
「中田君、ファイトよ!」
「翼、意地を見せてやれ!」
「中田君ならきっと追い抜ける!」
「あと少しだ中田!」

<最後の直線に入った! 1年8組せまる! せまる!>

「・・・・・・翼!! 負けないでーーーー!!!!」

<・・・・・・並んだ! そのままゴーーーール!>

「にゃ!? どっちが勝った!?」
「ほとんど同時に見えたな」
「えぇ。一体どちらが先かしら・・・・・・」

<1位のクラスはどっちだ!? 放送席からは同着に見えましたが・・・・・・>

「翼ーー!!」
「うわっ! 葵っ!」
「にゃは~、衆人環視の中で抱きついちゃいましたよ、このバカップル」
「まったくもう・・・・・・止める気も起きないわ」
「美沙ちんは抱きつかなくていいの?」
「な、なんで私が雅志に抱きつかないといけないのよ!」
「誰も雅志っちなんて言ってないけど~、にやにや」
「あやめ!!」
「あやめ、美沙、その辺にしておくんだ」
「あ、葵! 離れろ! みんな見てるだろ!」
「翼! すごかったよ! かっこよかったよ!」
「あ、ありがと。ところで順位はどうなったんだ?」
「それがまだわからないのよ。まったく同着に見えたから・・・・・・」

<さて、ただいま全クラスがゴールしました、が・・・・・・1位のクラスはどちらだったんでしょうか。あ、先生、マイクどうぞ>
<えー、審判を務めた竹内です。ただいまのレースの結果ですが協議の結果、1位のクラスは―――>

 

 

 

 



ポチっと押してくれたら嬉しいです。


 

最後の結果はどうなったなの!?

こっけ~:「それは長編小説の方の『キミと夏の終わり』に出てきますよー」

 

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