【日常短編小説】ある日の4人 ~11月~

【日常短編小説】ある日の4人 ~11月~

 

こんにちはなの! モロくんなの!

こっけ~:「モロのかいぬし、こっけ~ですー。土曜日は小説の日~」

今回は、かいぬしさんが学生時代に書いた短編小説をお届けするなの!

 

※ これまでの小説はこちら

 

 




 

 

 

ある日の4人 ~11月~

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、あやめ・・・・・・」
「どしたの~、美沙ちん?」
「あの・・・・・・どうしてもこの格好しなきゃだめかしら?」
「何を今さら言ってるの~! 覚悟決めなさい!
「そうは言っても・・・・・・メイド服を着るだなんて、私・・・・・・」
「つべこべ言わない! コスプレ喫茶をやるってホームルームの時間にクラスみんなで決めたことでしょ~!」
「それはそうだけど・・・・・・」
「にゃは、今日ばっかりは美沙ちんより立場強いもんね~」
「悪夢だわ・・・・・・」
「美沙ちんがメイド服着れば、あたしたちのクラスの喫茶店の売上大幅アップ間違いなしなんだから~!」
「何もたかだか文化祭でそんなに張り切らなくてもいいじゃない」
「にゃ!? 美沙ちんはこの文化祭、通称”太陽祭”の重要性をわかってないみたいだね~。太陽祭で一番売り上げたクラスには、なんと!
「どうせ学食のチケットでしょう。青空祭に続いてまたこのパターンね・・・・・」
「だから勝ちたいの~! このコスプレ喫茶で最優秀目指そうよ~!」
「・・・・・・わかったわよ。それにしても太陽祭って本当に大規模ね。どれだけのイベントがあるのかしら?」
「それぞれのクラスが一つずつ出し物するんだよね~」
「えぇ。私たち1年8組は有志による演劇だったわね。それとバンドコンサートもあったかしら?」
「そうそう! 確か鶴っちが出るって言ってたよ~」
「後は文化系の部活によるステージパフォーマンスや、抽選大会――」
「それに忘れちゃならないのが~・・・・・・にやにや」
「・・・・・・」
「美沙ちんが出る、”ミス青陽コンテスト“だよね~!」
「なんでそんなものに出ないといけないのよ」
「だって美沙ちん美人だもん~。それにミスコンに勝ったクラスは売上に点数が追加されるから、最優秀に一歩近づくんだよ~!」
「美沙、あやめ。準備の方はどうだ?」
「あら、涼子。こっちは問題ない・・・こともないけれど。生徒会のお仕事は?」
「ひとまず準備が終わったので自分のクラスの様子を見ておこうと思ってな」
「さすが涼子ちん、仕事熱心!」
「うむ、この太陽祭が新生徒会の初仕事といってもいいからな。青空祭は前生徒会が主に取り仕切っていたしな」
「涼子、頑張ってね」
「ありがとう、美沙もな。なかなかその給仕服、似合っているぞ」
「・・・・・・これが似合っていても、あまり嬉しくないわね」
「涼子ちんにも着てほしかったな~」
「ふむ、機会があればな。ところで葵の姿が見えないが、どうしたのだ?」
「葵ちんならそこのカーテンの裏に・・・・・・」
「じゃんじゃじゃーん!」
「む、葵か・・・・・・ってなんだ、その衣装は?」
「これ? 美沙ちゃんに借りた巫女さんの服だよー。美沙ちゃんのサイズだからボクにはちょっと大きいけどねー。どう、似合う?」
「うむ、似合っているぞ。だがなぜ巫女の服がここに?」
「にゃは、ミスコンの予選で美沙ちんに着てもらおうと思って~。美沙ちんって実家が神社だからさ~」
「なるほど。しかしなぜ巫女の服を選んだのだ? 美沙ならどんな服でも似合うだろう?」
「なんか前雑誌に載ってたんだけどね、男の子は巫女の服が好きらしいよ~」
「へー、そーなんだー! じゃあ翼に見せて来るー! サッカー部の屋台のとこかな? 行ってきまーす!」
「あ、葵ちん! ・・・・・・行っちゃった」
「あの子、あの衣装のまま学校中を歩くつもりかしら・・・・・」
「ところであやめは何の衣装を着るんだ?」
「あたしはね~、じゃ~ん!」
「・・・・・・これは?」
「女忍者の衣装だよん。セクシーでしょ!」
「あやめが着てもセクシーには見えないわね」
「むき~! じゃあ美沙ちんがこれ着る!?」
「ごめんなさい、本当にごめんなさい、それだけは許して」
「あやめ、いささか露出が多すぎではないか? 学校の風紀を守る生徒会としては・・・・・・」
「まぁまぁそんな堅いこと言わないで~。せっかくの太陽祭なんだからさ~!」

 

 

「にゃは、いらっしゃいませ~!」
「4名様ですか? こちらへどうぞ」
『か、神楽さんのメイド服、素敵です!』
「あ、ありがとうございます・・・・・・」
『あの、写真撮ってもいいですか?』
「えぇ!?」
「そこのお客様~。写真撮影は別料金になってます~」
『そ、そうなんですか・・・・・・。いくらですか?』
「出すのかよ!」

 

 

「いらっしゃいませ」
『うわ、このメイド服の子、超美人!』
『やべー! 超テンション上がるんですけど!』
「・・・・・・あの、何名様でしょうか?」
『自分ら2名っす! あ、名前は・・・』
「いえ、自己紹介しなくても・・・・・・」
『いやいや覚えといてくださいよ~!』
「・・・・・・はぁ」
「こら、美沙ちん! お客様の前では笑顔!」
『うお! この子の衣装セクシー!』
「にゃは! お客様、お目が高い! 美沙ちんよりもあたしの方はい・か・が?」
『あー、いや自分、ロリ趣味は入ってないんで・・・・・・』
『俺も幼児体型よりグラドル好みなんで・・・・・・』
「むき~!!」

 

 

「コスプレ喫茶、大盛況だね~」
「えぇ。それにしても葵、全然戻ってこないわね」
「巫女の衣装のままどこに行っちゃったんだろ~」
「ただいまー!」
「あ、噂をすれば葵ちん! どこ行ってたのさ~?」
「サッカー部の屋台に行こうとしたんだけどねー、途中でいろんな人に『写真撮っていいですか?』って声かけられちゃってー」
「美沙ちんだけじゃなくて、葵ちんにも負けた・・・・・・」
「それでようやく翼のとこ行ったら『早く戻って着替えろ!』って怒られちゃってー」
「賢明な判断だわ」
「だから戻って来たんだけどー・・・・・・すごいお客さんだねー!」
「そうだよ~、葵ちんいないと手が足りなくて大変だったんだから~。売上が落ちたらどうすんの!」
「はわわ、ごめんね・・・・・・。あ、でもお客さんをいっぱい連れてきたよー」
『日向さんのクラスのコスプレ喫茶ってここっすか?』
『葵ちゃん、写真撮らせて・・・・・・ってお! 美沙ちゃんまでこのクラスか!』
『ここの店員、美人揃いだな!』
「え? 葵の後ろに何十人もお客さんが・・・・・・」
「みんなー! ここがボクのクラスの喫茶店だよ! ゆっくりしていってねー!」
『『『はーい!』』』
「葵ちん、なんて恐ろしい子・・・!」

 

 

 

 

<皆様ステージにご注目ください! これより太陽祭恒例の人気イベント『ミス青陽コンテスト』を始めます! 会場、のってるかい!?>

「「「「いえーーー!!!!」」」」

<それではまずは予選からです。まずは1年生の出場者のみなさん、どうぞ!>
「はぁ。なんでこんなことやらないといけないのかしら・・・・・・」

<はい、7組さんありがとうございました~。それでは続いて8組の――>

『『美沙ちゃーん!!』』

<おっと、すでに会場から声援が飛んでいますね。さぁ、8組からエントリーしたのは、神楽 美沙さんです!>
「・・・・・・」
<なんと巫女衣装で登場だぁ~! それでは推薦者の上田 あやめさんのスピーチです!>
「あ、あ~、テステス・・・よし。えっと美沙ちんは見ての通りの美人でスーパーモデルみたいです!」

『美沙ちゃんかわいいー!』

「美沙ちんの家は神社なので、今日は特別に巫女さんの衣装で登場してもらいました! みなさんどうですか~?」

『かわいいー!』
『俺と付き合ってくれー!』

「にゃはは。しかも美沙ちんは見た目だけじゃなくて、頭もよくてスポーツもできるスーパーウーマンなのです!」

『すげー!』
『美沙ちゃん、こっち向いて~!』

「あれ? 美沙ちん表情が固い~。ほら、笑って笑って!」
「・・・・・・え、えぇ?」
「美沙ちんが笑ってくれませんね~! そうだ! 会場の皆さん、美沙コールをお願いします! はい、み~さ! み~さ! み~さ!」

「「「「み~さ! み~さ! み~さ!」」」」

「わ、わかったわよ。笑えばいいんでしょう! ・・・・・・はい」

『か、かわいいー!!』
『惚れてまうやろ~!』

「出た~! 美沙ちんのメガトン級スマイル!」
<はい、8組さん時間終了です>
「わっかりました~! それではみんな! 投票はぜひ”神楽 美沙”でよろしく~!」

『『はーい!』』

「あ、1年8組の教室でコスプレ喫茶やってるんでそっちも来てね~! 美沙ちんのメイド衣装が見られるかもよ~?」

「あやめ!!!!」
「にゃは、どしたの?」
「どしたの? じゃないわよ! 何よあのスピーチは!」
「すごいでしょ~、美沙ちゃんの魅力を十分に引き出してみました~」
「笑ってだとか美沙コールだとかやりたい放題やってくれちゃって!」
「だってミスコンだよ~、会場を盛り上げないと~!」
「め、めちゃくちゃ恥ずかしかったんだから! もう二度とステージには上がらないわ!」
「え~? でも美沙ちん、今の予選だから・・・・・・」
「美沙! 美沙はいるか!」
「あ、涼子ちんだ。どしたの?」
「今予選の投票結果が出たんだが、1位通過だ!
「・・・・・・え?」
「本戦出場だ! おめでとう!」
「・・・・・・」
「にゃははは~。どうやらもう一回出ないといけないみたいだね~」
「やったな! 美沙!」
「悪夢だわ・・・・・・」

「美沙ちゃん! あやめちゃん! 教室にお客さんがいっぱい来たよ!」

「お、さっそくミスコンで宣伝した効果が喫茶店に表れたかにゃ~。葵ちん、今行くよ~! お仕事お仕事~、にゃは☆」
「はぁ・・・・・・」
「む、どうしたのだ美沙? せっかく予選を通過したというのに元気がないな。調子でも悪いか?」
「・・・・・・大丈夫よ」
「それにしてもあやめは営業の才能があるようだな」
「本当ね。あやめには勝てそうにもないわ・・・・・・」

<さ~あ皆さん大変お待たせしました! いよいよ第8回、ミス青陽コンテストの決勝です! 会場、のってるかい!?>

「「「「いえーーー!!!!」」」」

<すごい熱気だ! ステージ前もお客さんでいっぱ>

『いいから早く始めろ!』

<わ、わかりましたよ~。せっかく放送部の見せ場なのに・・・・・・。はい! それではそれぞれの学年を勝ち上がった3人、ステージへ!>

「「「「わーーー!!!!」」」」
「美沙ちゃんガンバれー!」
「美沙ちんファイト~!」
「うむ、間に合ったようだな」
「あ、涼子ちん! 生徒会の仕事はいいの~?」
「無理を言って時間を作ってもらった。大切な友人が出るんだ、見逃す手はない」
「そっかー。ところであやめちゃん、推薦者のスピーチやらないのー?」
「なんか本戦ではスピーチやらなくて、本人のアピールタイムだけなんだって~。美沙ちん、ちゃんとやってくれるかな・・・・・・」

<それでは本戦への出場者を紹介します! まずは1年生代表、神楽 美沙さん! 予選では巫女の衣装で会場を湧かせました!>

「む、美沙が緊張しているな」
「あはは、美沙ちゃんでも緊張するんだねー」

<そして2年生代表、脇谷 久未さん>

「あれ? 拍手が美沙ちゃんより少ない」
「・・・・・・葵、彼女の名誉のために言わないでおいてやれ」
「相変わらず葵ちんは痛いところをつくね~」

<そして3年生代表はなんと3年連続本戦出場、現在2連覇中の神楽 里紗さんだぁ~!!>

「あ、あの人って・・・!」
「あぁ。美沙の姉上のようだな」
「青空祭に続いて太陽祭でもあたしたちの前に立ちふさがるとは・・・美沙ちんのお姉さん、恐るべし!」

<今回のミスコンは史上初の姉妹対決! 里紗さんの3連覇か! それとも妹の美沙さんがそれを阻止するのか!?>

「2年生の人忘れられてるねー」
「舞台の上で泣きそうになってるな」

<さて、それではアピールタイムに移りましょう! 順番は公平を期すために抽選で決められます!>

「美沙ちん何番になるかにゃ~」
「む、箱から紙を引いたぞ」
「わくわくするねー!」

<順番が決まりました! 一番手は2年生代表脇谷 久未さん、続いて3年生代表神楽 里紗さん、そして最後に1年生代表神楽 美沙さんとなりました!>

「美沙ちゃんは3番目だねー」
「うむ、最後は印象を与えやすいからよいな」
「でもお姉さんがその前だよ~・・・・・・」

<脇谷 久未さん、ありがとうございました! さて、続いては3年生代表、神楽 里紗さんのアピールタイムです!>

「にゃ? 2年生代表のさんのアピールタイムは?」
「どうしたのだあやめ。今終わったところではないか」
「あ~、カットされちゃったのか」
「む?」

<里紗さん、準備はいいですか? ・・・・・・はい、それではアピールタイムスタート!>

「「「「里紗ちゃ~ん!!!!」」」」
にゃ!? ものすごい声援!」
「さっきの脇谷さんのより断然大きいねー」
「・・・・・・脇谷先輩、可哀想に」

「神楽 里紗です。ご声援ありがとうございます!」

「わぉ、里紗さん素敵な笑顔! なんか場慣れしてるね~」
「里紗さん素敵ー!」
内部からの裏切り!? 葵ちん! あたしたちは美沙ちんを応援するんでしょ!」
「はわわ、そうだった・・・・・・。でもあまりにも里紗さんが綺麗すぎてー・・・」

<はい、アピールタイム終了です~。ありが>

『みじけーぞ!』
『もっと見せろ~!』

<え~っと、会場からは依然里紗さんを求める声がありますが、時間の都合で次にい>

『なんだとてめぇ! 引っ込め!』
『そうだ! 帰れ帰れ!』

うっるせえ! お前ら黙っき聞いてりゃ調子に乗りやがって! 俺だってもっと見たいのは山々なんだよ! ・・・・・・あ、先生、どうしました?>

「む、生徒指導の竹内先生だ」
「なんか怒ってるねー」

<ごめんなさい! ちゃんと司会やりますから! はい、はいそうです、わかりました。・・・えー、先ほど不適切な言葉があったことをお詫びします>

「司会者も大変だにゃ~」

<・・・・・・それでは気を取り直して参りましょう。最後は1年生代表、神楽 美沙さんのアピールタイムです!>

「待ってましたー!」
「いいぞ美沙ちん~!」
「美沙! 応援してるぞ!」

<美沙さん、ご準備の方は・・・・・・はい、いいみたいですね。それではアピールタイム、スタート!>

「「「美沙ちゃ~ん!!!」」」
「おぉ! 里紗さんにも劣らない声援!」
「うむ、私たちも送ろう」
「じゃあいちにのさんで一緒に言おう! せーの!
「美沙ちん~!」「美沙!」「美沙ちゃんー!」
「あたしたち呼び方バラバラじゃん! ってか葵ちん、『いちにのさんで』って言ったのになんで『せーの』に替わるのさ!?」
「あはは、つい出来心でー」
「確信犯!?」

「みなさん、こ、こんにちは。神楽 美沙、です」

「む、美沙の表情が固いな。やはり緊張しているのか・・・・・」
「こういう時はあたしの出番ね! 美沙ちんの緊張を解くには~」
「解くにはー?」
「ずばり! いつもみたいにツッコミをさせればいいのよん。ってなわけで~」
「・・・・・・何やら嫌な予感がするな」
「あ、美沙ちん! スカートめくれてる!

「えぇ!?」

『おい、お前見えたか?』
『いや、見えなかった・・・』
「会場の空気が一瞬で変わったな」
「にゃはは、うっそ~!」

「あやめ・・・! あなたどういうつもりよ!」

「冗談だってば~。それよりこのままじゃ負けちゃうよ~。美沙ちん学食のチケット欲しがってたじゃん~、いいの?」
『美沙ちゃんって意外に大食いだったんだな』
『あぁ。あの抜群のプローポーションの秘訣は食べる事か?』

「な、それはあなたのことでしょ! 私はそんなこと言ってません!」

「そだっけ? でも負けちゃっていいの~?」

「・・・・・・それは」

「あたしたちの美沙ちゃんは頭もよくて、スポーツもできて、パーフェクトな人だよ!」
「美沙ちゃん! ボクたちのためにガンバって!」
「美沙! 応援してるぞ!」
「葵ちんと涼子ちんの言う通り! がんばって! あたしたちのために!」

「あやめは学食のためにでしょう」

「にゃはは、バレたか」

「・・・・・・わかったわよ、全力は尽くすけど結果がどうなるかはわからないからね。さて――」

「にゃは、作戦成功!」
「なるほど、普段通りの美沙に戻ったようだな」

「こんにちは皆さん、神楽 美沙です!」

「さすが美沙ちん! 笑顔が素敵!」

「このコンテストは勝つのを諦めていましたが、私の大切な親友が応援してくれたので気が変わりました」
<お~っと残念ながらここで時間切れです。ありが>
「お姉ちゃんには、絶っっっ対に負けたくありません!!」

「にゃ!? あの美沙ちんが・・・・・・」
「本気で叫んだな・・・・・・」
「美沙ちゃんかっこいー!」

<え、えっとありがとうございました。後ろにお戻りください>
「・・・・・・あ、叫んでしまってすいません」

「照れた美沙ちんもかわい~!」

「あ、あやめ! うるさいわよ!」
<あ、あのー、戻ってもらってもいいでしょうか?>
「ほ、本当にすいません・・・・・・」

 

 

「あ~や~め~!!」
「あ、美沙ちんお疲れ~!」
「お疲れ、じゃないわよ! いきなりスカートがめくれてるとか言ったりして! 最後なんて会場中に笑われていたじゃない!」
「それが作戦だったんだよ~。いい感じだったよね? 涼子ちん」
「うむ。皆が笑ったことにより明るい空気だったな」
「・・・・・・だ、だからって何もあんな風にしなくたっていいじゃない」
「だってあたし、美沙ちんには負けてほしくないもん。美沙ちんは憧れの存在だから、いつもパーフェクトでいてもらいたいんだもん!」
「あやめ・・・・・・。ごめんなさい、私あなたのこと誤解していたわ」
「そーだったんだー。ボクはてっきり、あやめちゃんは美沙ちゃんをからかいたいだけだと思ってたー」
「にゃは、本当はそれが目的なんだけどねん。いつも怒られてるからその仕返しで・・・・・・って美沙ちん?」
「・・・・・・あやめ、あなたって人は」
「ぎく、生命の危機。あ、あたしそろそろお店の手伝いに戻らなきゃ~・・・・・・」
「待ちなさい!!」
「あはは、あの二人仲がいいねー」
「・・・・・・葵、わざと言ってないか?」
「んー?」
「こら、あやめ!!」
「逃っげろ~! ・・・・・・さすが葵ちん、ナイスフォロー!」

<学校中の皆さん! ようやく集計が終わりました! ついに第8回ミス青陽コンテストの結果発表です!>
「ついに結果発表だって! ドキドキするなー」
「うむ。優勝しているとよいな」
「うん! ・・・あれ? 涼子ちゃん生徒会の仕事は?」
「あぁ、再び頼み込んで時間をもらってきた」
「にゃは、生徒会って実はあんまり仕事なかったり?」
し、失礼な! 本当は多忙なところを無理言って・・・・・・」
<さて、それではさっそく結果発表です! ・・・・・・時間が押しているのでぱぱっと行きます!>
「ふつーはこういうの溜めるとこなんだけどにゃ~」
「仕方あるまい。バンド出演者がことごとく定められた時間を超えていたせいだ」
<まずは3位の発表から! 3位は――>
「もうわかってるけどねん」
<2年生代表、脇谷 久未さん!>
「やっぱり~」
「そう言ってやるな、あやめ」
<そして残るは神楽姉妹二人! 姉、里紗さんの3連覇か! それとも妹、美沙さんがそれを止めるのか!?>
「わくわく」
「ドキドキ」
「・・・・・・そ、そんな目で見ても私は擬態語など言わないぞ」
<今回のコンテストは会場の票が真っ二つに分かれる接戦となりました!>
「あれ? 真っ二つことは2年生の人はー?」
「・・・・・・この司会者も配慮が足りないようだな」
<さあ、ミス青陽の栄冠に輝くのは――え?なんですか先生。 もっと早く進めろ? わかりましたよ――それじゃ1位を発表しまーす、すればいいんでしょー>
「テンション急降下!?」
<1位になったのは――――――――神楽 美沙さんです!
「やっぱりあの作戦だけじゃダメだったか~・・・・・・」
「残念だったねー」
「あやめ、葵! 里紗さんではない、美沙だ! 美沙が優勝したんだ!
「わかってるよ~。だから残念・・・・・・ってにゃにゃ!?
「え、美沙ちゃんが勝ったのー?」
「そうだ! 美沙が優勝したんだ!」
「やったーーーー!!」
「学食に一歩近付いた~~!!」
「・・・・・・あやめは食欲だけで生きているのか?」

「美沙ちゃん、おめでと!」
きゃあ! 葵、いきなり抱きつかれたらびっくりするじゃない!」
「だってすっごく嬉しいんだもん! 優勝だよ! やったね!」
「美沙ちんお疲れ~! この優勝もあたし、あやめ様のおかげね~」
「・・・・・・そうね、素直に感謝するわ。ありがとう、あやめ」
「美沙、おめでとう。友人として私も嬉しいぞ」
「ありがとう涼子」
「葵!」
「あれ、翼が走ってきた。どーしたのー?」
「神楽がミスコンに優勝したから喫茶店にお客さんがめちゃくちゃ来て手が足りないんだ! みんな戻って手伝ってくれ!」
「わかったー! すぐ行くー! ・・・・・・お店、手が足りないんだってー」
「にゃは、あたしたちもたもたしてられねぇぜ~」
「えぇ、それではお店に戻りましょうか」
「私も生徒会の仕事を終え次第、すぐにかけつけるぞ」

「うわー、すごいお客さん!」
「えぇ、教室の外にまで行列ができてるわね」
『あ、神楽さん! 優勝おめでとう!』
「ありがとう。それより仕事の分担をするわよ。シフト表はこれね。・・・・・・みんな聞いて!
『なんだなんだ?』
「私たちC班が戻ってきたので配置を少し変更します。A班は引き続き厨房を。接客しているB班は手が足りてるようだから二人厨房に回ってください」
『わかった!』
『了解!』
「私たちC班は行列のお客さんに注文を先に取ってお客さんが離れるのを防ぎつつ、同時に新規の客獲得のため店前で宣伝活動をします」
「ミス青陽の美沙ちんが教室の外にいればそれだけでお客さん増えるもんね~」
「D班は私たちC班と入れ替わりで休憩の予定なんだけど――」
『休憩を返上して働くよ!』
『あぁ。神楽も優勝したしな、俺たちも頑張らないと』
「ありがとう。それではD班から一人、部活の模擬店を手伝っている人たちを回って、なるべくクラスの方に戻ってもらえるように交渉してきて下さい」
『私が行くわ!』
「頼んだわ。あとD班のうち二人は少なくなってきた飲み物の買い出しをお願いします。残りのメンバーは厨房と接客へ」
『じゃあ俺とこいつで飲み物買ってくるよ』
「ありがとう、領収書を忘れないでね。それと宣伝のために巡廻しているE班にも戻ってきてもらいましょう。あやめ、彼らを探し出して教室に戻ってもらうよう伝えて」
「ラジャー!」
「以上で終わりです。何か質問は?」
「はいはーい!」
「あら葵、何かしら?」
「美沙ちゃんはもうメイドさんの衣装着ないんですかー?」
「・・・・・・」
「みんな、仕事の方はどうだ?」
「あ、涼子ちゃん! おかえりー」
「ようやく生徒会の仕事もひと段落したからな、私も手伝うぞ」
「・・・・・・そうだわ! 涼子、この服を着て!」
「これは・・・・・・給仕服?」
「えぇ。あなた、今朝あやめにメイド服を着てほしいって言われたとき『機会があれば』って言ったわよね?
「あ、あぁ。確かに言ったがまさか本当に・・・・・・」
「今こそその“機会”よ! ほら、早く着て!」
「だ、だが・・・・・・」
「文句は言わせないわよ。私はステージ上であんなに恥ずかしい思いをしたんだから!」

 

 

 



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