【日常短編小説】ある日の4人 ~8月~

【日常短編小説】ある日の4人 ~8月~

 

こんにちはなの!モロくんなの!

 

こっけ~:「モロのかいぬし、こっけ~ですー。今日の小説は二本立て!」

 

今回は、かいぬしさんが学生時代に書いた短編小説をお届けするなの!

 

※ これまでの小説はこちら

 

 




 

 

 

ある日の4人 ~8月~

 

 

 

 

 

青い海!」

白い砂浜!」

「「海水浴だー!!」」

「ちょ、ちょっと葵! あやめ! ちゃんと準備体操をしてから入りなさ・・・ってもう行っちゃったわ」

「仕方あるまい。電車に乗ってる最中から、ずっと泳ぎたがっていたからな」

「まったく、高校1年生にもなってあの二人は・・・・・・」

「ふむ。だが、もし葵とあやめが冷静だと―――」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「やっと海に着いたわね。泳ぎましょうか」

「あ、美沙ちん。海に入る前にちゃんと準備体操しとかないと足つっちゃうよ~?」

「それに日焼け止め塗っておかないと、あとで日焼けしちゃうからねー」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「―――となるぞ」

「・・・それもそれで気味が悪いわね」

「元気の良さが二人の長所だからな」

「でもやっぱり言っておかなきゃね。葵! あやめ! 準備体操しないと足をつ」

「にゃ!? 足つった~!」

「どうやら遅かったようだな」

「そのようね・・・・・・」

 

 

 

「とても綺麗な景色ね」

「海もなかなか良いものだな」

「えぇ。いい場所が見つかってよかったわ。この街は海も山もあるだなんて」

「うむ。今日は海で明日は山。全員の望みが叶えられるな」

「おまけに宿泊は温泉宿だなんて素敵ね」

「良い思い出になるな」

「本当ね。でも温泉に入る前に紫外線で肌を痛めてしまいそう・・・あら?」

「む、あやめたちが私たちを呼んでいるようだぞ」

「私たちはもう少し後から行くわ!」

「何ゆえ後からなのだ?」

「こんなに強い日差しだもの、日焼け止めを塗らなきゃ焼けてしまうわ」

「なるほどな。そうやって美沙の美貌は保たれているのか」

「美貌って・・・。でも少しでも気を抜くとすぐに荒れちゃうから気をつけないと」

「ふむ、そういうものなのか」

「涼子も塗っておいた方がいいわよ。はい、日焼け止め」

「ありがとう、美沙」

「葵ちん、やっぱり海はいいね~!」

「うん、そーだね!」

「夏休みにどこ行くか決める時に山がいいって言ってた人が信じられないよ~」

「だねー・・・ってあれ? あやめちゃん山派じゃなかったっけ?」

「そんな昔のことは忘れちまったぜ~」

「あはは。ところで美沙ちゃんたちは泳がないのかな?」

「呼んでみよっか~。美沙ちん~! 涼子ちん~!」

「二人は泳がないのー?」

「・・・後だってにゃ~」

「どうしてだろ?」

「どうせ美沙ちんが『日焼け止めを塗らなきゃ焼けてしまうわ』とか言ってるんだよ~」

「あはは、言ってそうだねー」

「よ~しじゃあ二人が来る前にもうひと泳ぎだ!」

「わかったー! あの岩場まで競走しよー!」

「望むところだ~!」

「「よ~い、どん!」」

 

刺身の舟盛り!」

伊勢海老の活造り!」

「「ごちそうだー!!」」

「宿でも相変わらずテンション高いわね」

「美沙ちんこそ、さっき入った温泉で『きゃ!? 何これ!? お肌すっべすべじゃない!!』って騒いでたくせに~」

「そ、そんな言い方してないわよ!」

「二人とも、せっかくの豪華な食事を前にケンカしなくてもよかろう。葵などもうとっくに食べ始めているぞ」

「にゃ!? 葵ちんいつの間に!? ・・・って」

「いっただきー!」

「あ! 葵ちんが刺身を箸で根こそぎ持ってってやがる! なんて強欲な!」

「日向家ではご飯は常に早いもの勝ちなんだよー」

「負けてられるか~!」

「ちょっと二人ともはしたない・・・・・・ってもうほとんど残ってないじゃない! 私だってお刺身食べたいのに!」

「む、私だって刺身は大好物の一つなのだ」

「葵、あやめ、皿に取った分を戻しなさい!」

「だから早いもの勝ちだってー」

「そうそう、出遅れた方が悪いんだよ~」

「ここは平等にいきましょう。せっかくのご馳走の前で喧嘩するなんてもったいないじゃない」

「うむ。均等に分けよう。そうし――」

「おいしー!」

「葵、無視!?」

「あやめ、一度その箸から手を離すんだ」

「いやいや~、これはあたしの刺身だから~」

「離すのだ、いい子だから」

「やだよ~だ」

「 離 せ 

「涼子ちん! 目が怖いよ!」

「あやめ、もしその刺身を食べたらもう 二 度 と 宿題を見せないわよ」

「美沙ちん! やり方が汚いよ!」

「あはは、涼子ちゃんも美沙ちゃんも必死だー」

「「葵、うるさい!!」」

「はへ!?」

「二人ともマジだにゃ・・・・・・」

 

 

 

緑の森!

藍色の湖!

「「森林浴だー!!」」

「・・・・・・他にパターンはないのかしら?」

「『森林浴だー!!』というのも少し不自然だな」

「それよりあなたたち、自然道は滑りやすいから走ったら危」

「にゃ!? つまづいた~!」

「どうやら遅かったようだな」

「だから他にパターンはないのかしら・・・・・・?」

 

 

 

「第1回! 青陽学園高校スイカ割り大会~!」

「わーわー! どんどんどんどんどん! ぱふぱふー!」

「司会進行はわたくし上田 あやめと~」

「アシスタントの日向 葵でお送りいたしますー」

「それではルールを――」

「あの、ちょっといいかしら?」

「はい、美沙選手。なんでしょう?」

「選手・・・? いや、そうじゃなくて、スイカを食べるのよね?」

「そだよ~。遊んでる間に川で冷やしておいたから、きっと美味しいよ~!」

「それは知っているけど、普通に食べればいいじゃない。私たちもう高校生なんだから。ねぇ? 涼子」

「スイカ割り大会・・・・・・。燃えるな」

「目の中にがゆらゆらと!?」

「あはは、涼子ちゃんやる気まんまんー」

「冷めてるの、美沙ちんだけだよ~」

「うむ。何事もやる気が大切だぞ、美沙」

「涼子、あなたなぜそんなにやる気なの?」

「スイカ割りは、目隠しして回った後にスイカを狙う方向感覚、三半規管の混乱を抑え無明の中歩く平衡感覚、周囲の者がスイカの場所を示す声の真偽を見抜く判断力、そしてスイカを真っ二つに振りぬく剣術などが試される競技なのだ」

「え、そんなにすごい競技なの!? っていうか競技なの!?

「さすが涼子ちん、現代の剣豪!」

「それじゃあ早速やろうよー! よさげな枝も拾ってきたしー。順番は――」

「私からやる!」

「涼子ちん、やる気がありすぎるのも問題!」

「そうよ、涼子。ここは平等にじゃんけんで決めましょう」

「む、そうだな。恥ずかしいところを見せてしまった」

「じゃあじゃんけんいくよー! せーの」

「「「「じゃんけん――」」」」

「ぽぉぉぉいぃぃぃ!!!!」

「にゃ!? 涼子ちん、声でかっ!」

「はわわ、近くに隕石でも落ちてきたかと思ったよー」

「しかも勢いそのままにグーを出したけど、他の3人がパーだから一人負けてるわ」

「ぐっ・・・・・・不覚・・・・・・」

「それじゃあ残りの3人で~。じゃ~んけ~ん」

「「「ぽい!」」」

「負けちゃたー」

「美沙ちんが最初か~。はい、目隠し~」

「えっと、これを巻けばいいのね・・・・・・巻いたわよ」

「じゃあその場で10回回ってー」

「もしくはトリプルアクセル!」

「無理よ! ・・・それじゃあ回るわね。1、2、3・・・・・・10!」

「よし、開始だな」

「美沙ちゃんこっちー!」

「美沙おばさん、こちらですわよ~」

「誰がおばさんよ!」

「スイカはここだぞ、美沙」

「そうね、涼子ならちゃんと教えてくれてるのかも。・・・けっこう目隠しで歩くの怖いわね」

「美沙ちゃん、こっちだよー!」

「姉御、こちらでございやすぜ~」

「誰が姉御よ!」

「美沙、目の前だ! そこで振れ!」

「えぇ、わかったわ。・・・えい!」

 

かつーん。

 

「あら、外れてしまったみたいね。最後にずれちゃったのかしら」

「・・・・・・美沙ちん、目隠し外してみて~」

「えぇ。スイカは・・・・・・あら?」

「あはは、美沙ちゃんスタートの場所から反対に行ってるー!」

「ふふふ。美沙、ひっかかったな」

「・・・え?」

「美沙がスイカを割ってしまっては私の番まで回ってこないからな。虚偽の情報を流してみた」

「涼子ちん、最初から間逆のところにスタンバってたもんね~」

「・・・・・・何なの、この喪失感は」

「じゃあ次はボクの番だー! 行くよー!」

「ちょっと葵ちん! 目隠ししてよ!」

「はわわ、忘れてたー」

「目隠しがなかったら、ただスイカを枝で叩き割るだけの行為になっちゃうじゃない」

「そうだぞ、葵。スポーツマンシップにのっとり、正々堂々と行うのだ」

「今日の涼子ちん、何かキャラが違う・・・・・・」

「目隠し完了ー! いーち、にー、さーん・・・・・・じゅー! 行っくよー!」

「葵ちん、スイカはここだよ~」

「いえ、こっちよ、葵」

「葵、スイカはここにあるぞ」

「同じ手にはかからないもんねー。スイカは涼子ちゃんの反対側! つまり・・・・・・ここだー!」

 

かつーん。

 

「あー、外れちゃったー」

「・・・葵ちん、目隠し外してみて~」

「うん。スイカはー?」

「葵の真後ろよ。スタート位置から正反対の場所にあるわ」

「ふふふ、葵、ひっかかったな」

「・・・はへ?」

「きっと葵は私の裏をかき、私の声とは反対の方向へ行く。それを見越して今度はスイカの正しい場所を示していたのだ」

「えー! やられたー!」

「よ~し、美沙ちんと葵ちんの仇はあたしが討つ! 葵ちん、目隠し!」

「はいー」

「メス!」

「はいー・・・・・・ってメス?」

「手術してどうするのよ」

「にゃはは、それじゃあ回るねん。い~ち、に~、さ~ん・・・・・・じゅ~!」

「あやめちゃん、スイカはこっちだよー」

「いえ、ここよ、あやめ」

「あやめ、スイカはここだ」

「涼子ちん、あたしを騙そうとなんて百年早いぜ~。間逆か、真実か、と見せかけて、実はそのどちらでもいない位置にいるに違いない!」

「なに!?」

「にゃはは、その声は図星みたいね~。そしてあたしにはこの嗅覚がある!」

「ま、まさか・・・・・・」

「そのまさか! あたしはスイカの甘い匂いで、どこにあるのかがわかっちゃうもんね~」

「なんてことだ・・・・・・」

「くんかくんか。ん、スイカの匂いめっけ~。こっちかにゃ~」

「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」

「ん、ここから強烈なスイカ臭が! 見破ったり~!」

 

ぱふーん。

 

「にゃにゃ!? この微妙な手ごたえは!?」

「ふふふ、あやめ、ひっかかったな」

「ん、あたしが叩いたのは・・・・・・タオル?」

「あやめの食べ物に対する嗅覚が優れているのは知っていた。だからあやめが10回回っている隙に、そのタオルをスイカにこすっておいたのだ」

「にゃんだって~!? あれ、でも本物のスイカは?」

「あやめちゃん、スイカはここー」

「そっち? ってにゃんと!」

「うむ。スイカはビニール袋で密閉し、匂いが漏れないようにしてある」

「完敗・・・・・・」

「涼子ちゃん、すごいー!」

「・・・・・・スイカ割りってこんな心理戦をする遊びだったかしら?」

「よし! 私の番だな! あやめ、目隠しを!」

「え? あ、はい」

「では10回回る! 1、2、3・・・10!」

「回るのはやっ!!」

「しかも全然ふらついてないー」

「それでは本多 涼子・・・・・・・いざ、参る!」

「涼子ちゃん、ここだよー」

「違うよ涼子ちん、こっちだよ~」

「涼子、スイカはここよ」

「・・・・・・嘘だな。三人とも声がいつもよりも僅かに高い」

「はへ!?」
「にゃ!?」
「え!?」

「となると、残りの一方向・・・・・・こっちだな」

「で、でも、これ以上あたしたちが何もしゃべらなかったら、嘘かどうかもわかんないからもう割れないでしょ~」

「いや、情報は既に十分だ」

「どういうことかしら、涼子」

「私は開始の位置からスイカまでの距離を目測していた。おおよそ5メートルだ。そして――」

「はわわ、涼子ちゃんがまっすぐスイカの方に歩いていく・・・・・・」

「歩幅を30cmにして15歩歩けば、4m50cmとなる」

「スイカの少し前でぴたりと止まった!?」

「この枝と私の腕の長さを計算すれば、この位置から叩くのが最も威力が高くなる」

「なんてことなの・・・・・・」

「それではスイカを割らせてもらう。・・・・・・面!

 

どばっしゃーん!

 

「手ごたえあり!」

「あー!」

「にゃ!?」

「あら・・・・・・」

「ふふふ、悔しいかもしれないが、勝負の世界とは非情なものだ」

「これは非情すぎるよー」

「別の意味でね~」

「涼子、目隠しを外してみて」

「ん? 一体何が・・・・・・む!?」

「ボクたちのスイカが・・・・・・」

「楽しみにしてたスイカが・・・・・・」

「木っ端微塵に砕かれてしまうなんて」

「・・・・・・すまない、みんな」

 

 

 

 

おまけ

 

登場人物紹介 : 本多 涼子(ほんだ りょうこ)


(昔、かいぬしさんの小説を読んだトモダチが書いてくれたなの!)

 

こっけ~’s メモ

「ある日の4人」のメインキャラクターの1人、本多 涼子です。
父親が剣道の師範なだけあって、とにかく強い。そして真面目な人物です。
成績は極めて優秀で、生徒会活動に興味を持っています。正義感がとても強い子。
硬派に見えますが、ところどころ抜けているところがあります。
あと、料理が壊滅的に下手ですが、そこはご愛嬌。

 

 



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