【日常短編小説】ある日の4人 ~6月~

【日常短編小説】ある日の4人 ~6月~

 

こんにちはなの!モロくんなの!

 

こっけ~:「モロのかいぬし、こっけ~ですー。土曜日は小説の日!」

 

今回は、かいぬしさんが学生時代に書いた短編小説をお届けするなの!

 

※ 短編シリーズの目次はこちら

 




 

 

 

ある日の4人 ~6月~

 

 

 

 

「あやめ、そのように沈んだ顔をしてどうしたのだ?」
「う~、じめじめする~・・・・・・」
「雨が降っているからな」
「毎日雨ばっかだにゃ~・・・・・・」
「梅雨だからな」
「・・・・・・涼子ちんって大人だね」
「そうか?」
「うん、少なくともあたしの数百倍は大人。涼子ちんってホントにあたしと同い年?」
「あぁ」
「いったいぜんたいどこでこんなに差が?」
「考えられる要因としては、私の父上だな」
「涼子ちんのお父さん?」
「うむ。私の父上は剣道の道場の師範だ。剣術だけでなく礼儀作法などにも非常に厳しい」
「にゃるほど~、だから涼子ちんはそういうしゃべり方なんだね~」
「体に染みついているのだろうな」
「それにあんまり冗談を言ったりもしないよね~」
「そうだな。あやめのように滑稽なことを言うのは苦手だな」
「涼子ちんもたまには言ってみてよ~」
「ふむ、努力してみよう。ところであやめはどうしてそのような口調になったのだ?」
「あたし? う~ん、なんでかにゃ?」
「私の場合は父上が剣道の師範だからだが、あやめは父親が猫であるとか?」
「・・・・・・・・・・・・え?」
「冗談だ」
「びっくりした~・・・・・・。涼子ちん真顔で冗談言うんだもん!」
「すまない」
「いや、謝ることじゃないけど・・・。やっぱり涼子ちんは真面目な方が向いてるかもにゃ~」
「だが私も少しは性格を軟化させたい。何かよい方法はないだろうか?」
「あ、涼子ちゃんとあやめちゃんだー。何の話してるのー?」
「葵か。今は互いの口調について話していたところだ」
「区長?」
「葵ちん、それ変換ミス! それ文字の世界でしか伝わらないボケだよ!」
「む、文字の世界とはなんだ、あやめ」
「あ、こっちの話です~。ところで口調と言えば葵ちんもあたしみたいに語尾を伸ばす癖があるよね~」
「えー、そうかなー?」
「うん、思いっきりそうだよ」
「しかしあやめと葵の伸ばし方はどこか違うな」
「そだね~。あたしの語尾は『~』だけど葵ちんは『ー』だもんね~」
「ん?」
「この説明の仕方はまずかったか。えっとあたしの場合は語尾に波があるんだよね~」
「確かに注意して聞いてみればそうだな」
「そうだ! 涼子ちんも語尾を伸ばしてみるといいよ! そしたらキャラが変わるかも!」
「そうなのか?」
「さっそくやってみよう! 涼子ちん、毎日雨ばっかりだね~」
「つ、梅雨だから、な~」
「あ、面白そー! ボクも真似してみるー!」
「涼子ちん、高校生活はどう~?」
「充実しているぞ~。弓道部の先輩方もいい人たちばかりだ~」
「お、涼子ちん調子出てきたね~。葵ちんはどう~?」
「毎日楽しいよ~! あやめちゃんは~?」
「あたしも楽しいよ~! あたしは陸上部に入ったんだ~」
「ふむ~、陸上部か~。そういえばクラスメイトの鶴本君も入っていたな~」
「うん~、でもあたしは短距離だけど、鶴っちは長距離なんだ~。でも涼子ちん、なんで鶴くんが陸上部にいるの知ってるの~?」
「彼は私と同じくクラス委員を務めているのだ~」
「涼子ちゃん、クラス委員って何~?」
「生徒会の下部組織で~、クラスの男女一名ずつが学校の諸活動を行っているのだ~」
「・・・・・・ストップストップ! みんな語尾を伸ばすと読みにくいよ! 誰が話しているか読者さんがわからなくなる~!」
「読者?」
「あ、そこはあまりお気になさらず~。とにかく二人はあたしみたいに語尾を伸ばすの禁止!」
「あやめの専売特許というわけか。しかし鼻祖はあやめだから致し方ないな」
「そこだ~!」
「む!」
「涼子ちんの話し方が硬く聞こえるのは、難しい言葉ばっかり使ってるからだ~!」
「そんなに難解だろうか?」
「それ! 女子高生はわざわざ『難解』なんて言わないもん~!」
「何回?」
「葵ちん、誤変換ネタはもういいよ! とにかく、涼子ちんはもっと若い人が使うゆる~い感じの言葉を使えばいいんだよ~」
「しかし私は若者言葉をあまり知らないのだが・・・・・・」
「とりあえずやってみよ~。涼子ちん、毎日雨ばっかりだね~」
「ま、マジで雨ばっかだな。チョベリバだ」
「・・・・・・涼子ちん、古い
「・・・・・・すまない」
「あら、3人揃ってなんの話かしら?」
「あ、美沙ちゃん! 今ねー、涼子ちゃんのイメチェンをしてたとこー」
「涼子のイメチェン?」
「うむ。私の話し方は硬いから、少し柔らかくしようと試行錯誤しているって感じぃ~、だ」
「り、涼子?」
「だから涼子ちん、古いって~」
「・・・・・・すまない」
「そうねぇ・・・・・・。じゃあもっと感情表現を豊かにしてみたらどうかしら?」
「あ、美沙ちんナイス! そうだよ、涼子ちんは落ち着きすぎなんだよ~」
「そうか?」
「うん、そう! よし、そんな涼子ちんに秘密兵器を教えてしんぜよ~!」
「なんだ?」
「その名も――― 『』 だ!」
「な、なんだって?」
「『びっくりマーク』だよ~。語尾にびっくりマークをつければテレビの前のあなたもすぐさま感情豊かに!」
「あやめ、テレビショッピングみたいになってるわよ」
「そ、そうなのか・・・・・・」
「うん! やってみて~。涼子ちん、毎日雨ばっかりだね~」
「梅雨だからな!」
「おぉ! ばっちし~!」
「そ、そうか! じゃあこれからこの話し方にしてみることにするか!」
「涼子ちゃん違う人みたいー」
「本当、まるで別人のようね」
「にゃはは、これにて一件落着~」
「ありがとう! あやめ!」
「う、うん。どういたしまして~」
「ところで今日の放課後なんだが!」
「ちょちょちょちょっとストップ。全部『!』をつけるのはやめた方がいいよ~」
「む! そうなのか!」
「うん、なんかハイテンションすぎる~・・・・・・」
「そのうち脳の毛細血管切れちゃうわよ」
「なに! それはまずいな!」
「あはは、涼子ちん熱血ー」
「しかし全部にはつけないとなると! 一体どうすればいいのだ!」
「あ~、ほどほどにつける感じかな~」
「ほどほどとは大体どのくらいなのだ!」
「・・・・・・なんか腹立ってきたにゃ~」
「あやめ、自分がまいた種なのだから責任持ちなさい」
「教えてくれ! あやめ!」
だ~! やっぱり『!』も禁止!」
「む、これも禁止なのか」
「あ、いつもの涼子ちゃんに戻ったー」
「涼子は今までのままでいいと思うわよ」
「そうか? 美沙」
「確かに~。涼子ちんは涼子ちんだもん。こういうキャラも小説的に需要あると思うし~」
「小説? 需要?」

 

 

「今日も食堂は混んでいるわね」
「空いてる席が見つかってよかったねー」
「わぉ、いきなり舞台転換。え~っとあたしたちは今、学校の食堂にいるよ~」
「あやめ、誰に説明してるの?」
「そんなことはおいといて~。早く食べようよ~」
「ボクもお腹ぺっこぺこだよー」
「うむ。いただくことにするか」
「よ~し、それではみなさん御一緒に~」
「「「「いただきます!」」」」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ちょっとみんな、食べるのに熱中しすぎて話にならないよ~!」
「あら? 何か話していたかしら?」
「あ~、そういう意味じゃないんだけどね~。でもこれじゃあただの行稼ぎになっちゃうよ~」
「あやめはたまによくわからないことを言うな」
「と、とにかく会話しよ~! ・・・ってなわけで美沙ちんの今日のランチは~?」
「見ればわかるじゃない」
「いや、文字情報じゃないと伝わらないんで、これマンガじゃないし~。はい、今日のランチは~?」
「言えばいいのね。私のメニューは玄米ご飯とわかめサラダ、おかずは春巻きよ」
「ありがとうございます~。それでは次、涼子ちん!」
「私は焼き鮭定食だ。ご飯と味噌汁、漬物が付いている」
「さすが涼子ちん、和風キャラ! んでもって葵ちんは~?」
「ボクはミートスパゲッティーだよー」
「にゃるほど」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「お、お~い。誰かあたしに聞いてくれる人はいないの?」
「はへ? あ、えっと、あやめちゃんのお昼ご飯は何ー?」
「よっくぞ聞いてくれました!」
「あやめが言わせたんじゃない」
「美沙ちんうるさい! あたしのご飯はオムライスだよん。ところでみんな、このオムライスの伝説を知ってる~?」
「伝説? 何か言い伝えがあるのか?」
「なんか噂によるとね~、今年から学食に凄腕の料理人が来たらしいよ! 古川先生のかつての教え子なんだって~」
「へー、そうなんだー」
「それでその人が作るオムライスは特に絶品でね! 1日20食限定だからすぐに売り切れちゃうんだって~。でも今日ようやく初ゲット!」
「あやめちゃんおめでとー!」
「ありがと~! さて、そんなわけで一口――」
「どうー?」
「ふぉふぇ、ふっふぉふふぉいふぃ~!」
「あやめ! 食べ物を口に入れたまましゃべらない! 何言ってるかわからないでしょう?」
「そっかー、あやめちゃんよかったねー!」
「え、わかるの!?」
「はふはふ・・・・・・んっ。これ、すっごくおいし~!」
「ボクも一口食べていいー?」
「ちっちっち、苦労して手に入れたオムライス、そう簡単にあげるには――」
「いっただっきまーす!」
葵ちん無視!? ・・・・・・まぁもともとあげるつもりだったからいいけど~。美沙ちんと涼子ちんも一口どうぞ~」
「あら、いいの? ありがとう、あやめ」
「感謝するぞ」
「いえいえ~」
「・・・・・・本当、すごく美味しいわね。卵がすごくふんわりしているわ」
「うむ。中の炊き込みご飯の味付けも絶妙だな」
「涼子ちん、ケチャップライスを”炊き込みごはん”って・・・」
「あ、話は変わるけど葵、あなた部活決めたのかしら?」
「うん、昨日決めたよー」
「お、葵ちんだけ決めてなかったもんね~。結局何部にしたの?」
「葵は体力テストでかなりの好成績だったからな、運動部から引く手あまただろう」
「ボク、園芸同好会に入るー!」
「そっか~、えんげ・・・ってにゃ!? 園芸!?
「うん。園芸同好会」
「・・・・・・意外な部活ね。なぜ園芸同好会を選んだの?」
「だってボク土いじりするのスキだからー!」
「・・・・・・葵ちん、意外」
「うむ。私もてっきり運動部に入ると思っていたのだが・・・・・」
「うーん、運動もいいけど、もしまた引っ越す時が来たら他の人に迷惑かけちゃうからさー」
「そんな周りのこと考えないで、自分のやりたいことをやればいいのよ?」
「うん、だからボクやりたいこと選んだよー。園芸」
「葵自身がそれでよいのならそれでよいのだが」
「ボク昔から山とか森とか原っぱとか外で遊んでたからさー。だから自然がスキなんだー!
「わぉ、笑顔が眩しい! ところで園芸同好会って、具体的にどんなことするの~?」
「なんかスキな植物を育てていいみたいだよー。お花を植える人もいれば、野菜を育ててる人もいるんだってー」
「なるほど。葵は何を植えるか決めたのか?」
「うん! ヒマワリだよ!」
「さすが葵ちん、キャラを崩さない! でもヒマワリって夏の花だよね? 今から植えて間に合うの~?」
「ダイジョブダイジョブ♪ 昨日図書室の本で調べてみたけど6月ならまだ間に合うんだってー」
「・・・・・・葵、その努力が少しでも勉強に向けばいいのだけど」
「それは言わない約束でしょー」
「でも葵ちん、水やりとか忘れそ~。ちゃんと育てられるのかにゃ?」
「むー。ボクだってやる時はやるよー!」
「ホントに~? じゃあヒマワリってどうやって育てるのさ~?」
ヒマワリは移植を嫌うので、種蒔きにはジフィーセブンを用いると便利です。給水して中央部分をくぼませて、まき床にします
「にゃにゃ!?」
発芽するまで乾かないように管理し、本葉が4枚ほど開いたら定植。非常に肥料を好む植物なので苗の間引きがすんだら緩行性成化成肥料を株元に施します
「・・・・・・」
追肥は2週間おきに数回。肥料を与えるたびに根の周囲を軽く中耕(棒などで軽く何カ所か突く)し、水や空気の通りをよくしておきます
「葵ちんスト~ップ! もういい、わかったから! 疑ってごめんなさい!」
「あはは、すごいでしょー」
「すごいわね葵。本に書いてあることを全て暗記したの?」
「うん! せっかく植えるんだからちゃんと育てたいしねー。でも”かんこーせーかせーひりょー”ってなんだろ? 美沙ちゃん知らない?」
「・・・・・・本当に丸暗記なのね」
「カッコ書きもそのまま読んでいたしな」
「あたしの”ごめんなさい”を返せ!」

 

 

 

 

おまけ

 

登場人物紹介 : 上田 あやめ(うえだ あやめ)


(昔、かいぬしさんの小説を読んだトモダチが書いてくれたなの!)

 

こっけ~’s メモ

「ある日の4人」のメインキャラクターの1人、上田 あやめです。
非常に頭の回転が速い子で、人をからかうことにかけてはプロフェッショナル。
ボケもツッコミもどちらもこなす、ムードメーカーにしてトラブルメーカーです。
「ある日の4人」のキャラ内で唯一、自分のいる世界が小説だとわかっている模様。
真田 孝之という恋人未満の幼馴染がいますが、話題には上がるけど登場はしてません。

 

 



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