【日常短編小説】ある日の4人 ~1月~

【日常短編小説】ある日の4人 ~1月~

 

こんにちはなの! モロくんなの!

こっけ~:「モロのかいぬし、こっけ~ですー。土曜日は小説の日~」

今年もちょこっとずつ載せていくなの!

 

※ これまでの小説はこちら

 

 




 

 

 

ある日の4人 ~1月~

 

 

 

 

 

 

「あめましておめでとう、涼子」
「うむ、あけましておめでとう、美沙。今年もよろしくな」
「えぇ。それにしても、去年はいろいろあったわね」
「高校最初の年だったからな。内容の濃い一年だった」
「涼子たちに会えてよかったわ。こんなに仲の良い友達ができるとは思わなかったもの」
「私も堅物な人間ゆえ、中学校ではいろんな人から疎まれていたからな。美沙たちに受け入れてもらえてよかった」
「あら、私はあなたみたいな性格の人がいてよかったわよ。もし涼子がいなくてあの二人だけと会っていたらと考えるとぞっとするわ」
「同感だ。私一人ではあの二人を抑えることはとうてい敵わぬ・・・・・・しかし二人とも遅いな」
「きっと3学期最初の日だから正月ボケが抜けきっていないのでしょう、と噂をすれば走ってくる足音がするわ」
駆け込みセーーーッフ! スーパー美少女 上田 あやめ、青陽学園高校にただいま参上!」
「・・・・・・今年も嵐の予感だな」
「えぇ、共に頑張りましょう」
「あ、美沙ちんに涼子ちん、あけおめ~!」
「あけましておめでとう、あやめ」
「あやめ、今年もよろしくな」
「ことよろ! ってあれ~、葵ちんは~?」
「葵はまだ来てないわ」
「そっか~、新年早々”初遅刻”かにゃ?」
「あなたも似たようなものでしょう」
「でもあたしはセーフだったもんね~」
「む、また慌ただしい足音がする」
「ま、間に合っ、たー!」
「葵ちん! あけおめ~!」
「あ、あやめちゃん、あああけ、あめおけー」
「葵、息が上がってろれつが回ってないわ」
「新年の挨拶が”雨桶”になってたぞ」
「ごめんね、走って、きたから、さー・・・・・・」
「何をそんなに急ぐことがあったの?」
「それがねー、大晦日の日に夜更かししてたんだけどー」
「え? そんな1週間前まで話はさかのぼるの?」
「その日いつもより遅く起きてたらなんと、なんとね!
「なんと・・・?」
「お正月の日、昼過ぎに起きちゃったのー!」
普通よ。全然『なんとね!』じゃないわよ」
「それでその日から昼と夜がおかしくなっちゃって・・・・・・」
「だから今朝は寝坊したというわけね」
「ううん、ちゃんといつも通りの時間に起きたよー」
「ならなんで、大晦日から話をしたの?」
「それで今朝はお父さんにおはようって言って、朝ごはん食べて、歯を磨いて――」
「もしその部分が話の本筋に関係ないのなら適度に省略してちょうだい」
「それでいつもと同じ時間に家を出たのー」
「やっぱり朝ごはんや歯磨きのくだりはいらなかったわね」
「でもね、駅に向かってる途中で冬休みの宿題を忘れたことに気付いてねー」
「ふむ、それで取りに帰って遅れたのだな」
「ううん、電車に間に合わなそうだったから諦めたー」
「ならばなぜその話を出したのだ?」
「それで電車に乗って、今日は運よく座れたんだけど寝不足でうとうとしてて・・・・・・」
「そっか葵ちん、それで寝過ごし・・・と思わせといて~」
「でもなんとか降りる直前に目が覚めて降りれたのー」
「やっぱりフェイントだった~、危うく引っかかるとこだったにゃ~」
「でも駅に定刻通り着いたのなら、なんで学校に着くのがこんなぎりぎりの時間帯になったのかしら?」
「それが 、冬休みが長かったから駅から学校へ行く道を忘れちゃってー」
「「「・・・・・・」」」
「みんなはちゃんと覚えてたー?」
「葵ちん、冬休みって2週間だけなのに・・・・・・」
「忘れていたわ。私が今話しているのは葵だということを」
「・・・・・・今年も、嵐は相変わらず強そうだな」
「でも他に制服着てる人を追っかけてたらなんとか間に合ったんだー、やったね!」
「けど葵ちん、冬休みで道を忘れるんだったら夏休みの時はどうだったの?」
「そうね、夏休みは2ヶ月近くあるから冬休みよりも長いのに」
「2学期の最初の日はねー、翼の自転車の後ろに乗せてもらってきたんだー」
「ふむ、中田君か」
「そういえば葵ちんが付き合ったのは夏祭りの日だから、夏休みの終わりらへんだったもんね~」
「そして3学期の始業式は中田君の自転車に乗らなかったから、危うく通学中に迷子になりそうだったというわけね」
「だからって冬休みで学校の場所忘れるだにゃんて・・・・・・葵ちん、すごすぎるよ~」
「うむ、この展開は予想もつかなかった」
「さすが葵ね・・・・・・」
「あはは、みんなして照れるなー」
「「「褒めてない!」」」
「あ、そういえば四人で会うのも久しぶりだねー」
「前にあったのは元旦に初詣へ行った時だったな」
「そうだ! せっかくだから今日は放課後どこか寄ってこうよ~」
「ボクも賛成ー!」
「そうね、私も明日から野球部のマネージャー行かないといけなくなるし。涼子はどう?」
「私もみんなと同意見だ」
「よ~し満場一致! じゃあ場所もいつものとこでOK?」
「えぇ」
「異論はない」
「”初道草”だー!」

 

 

 

「ってなわけで新年”初スター夏味堂”! 相変わらず今年もケーキが美味し~」
「えぇ。パティシエの菜摘さんにはきっと今年もお世話になりそうね」
「そういえばさー、お正月に美沙ちゃんの家の神社に行った時の美沙ちゃん、かわいかったねー」
「うむ。巫女の服を着ているのは文化祭で一度見たが、やはり実際に仕事をしている姿はかっこよかったぞ」
「さすが美沙ちん! 看板巫女!
「その言い回し、初めて聞いたわ」
「でもすごいたくさんの人だったねー」
「あぁ。毎年元旦はあのように混雑しているのか、美沙?」
「そうね、確かに三が日はとても混むのだけど、今年は例年以上に多かった気がするわ」
「あ! あたしなんでかわかった~!」
「あやめちゃん、なんでなんでー?」
「それはきっと、太陽祭のミスコンで美沙ちんが優勝したからだよ! それであの時巫女の服を見た人が、もう一度美沙ちん見たさに~」
「そ、そんなわけないでしょう!」
「美沙ちんの”初ツッコミ”だ~」
「違うぞ、あやめ。美沙は既に何度もつっこんでいる」
「そっか。美沙ちんはツッコミ担当だもんね~」
「涼子、それフォローになっていないわ。というか私を芸人扱いしないでちょうだい!
「あはは、美沙ちゃんのツッコミは今年も絶好調だねー!」
「葵まで・・・・・・」
「いやいや、美沙ちんがつっこんでくれるから、あたしは安心してぼけられるんだよ~。さすが美沙ちん、ツッコミクイーン!」
「その称号、全然嬉しくないわ」
「ところで神社でどんなお願い事したー? 涼子ちゃんは?」
「私は家族全員が健康であるように、と願ったぞ」
「さすが涼子ちん、非の打ちどころがない!」
「褒めても何も出ないぞ。そういうあやめは何をお願いしたんだ?」
「あたし? あたしはね~、今年もスター夏味堂のケーキを食べられますように!」
「早くも叶ったわね」
「ちっちっち。これくらいで満足するあたしじゃないぜ~。やっぱホールケーキ1個丸ごと行かないと!」
「すごーい! ホールケーキ丸ごとだなんてあやめちゃん大人ー!」
「いえ、むしろ子供っぽいと思うわ」
「にゃはは。葵ちんは何をお願いしたの~? 今年も翼っちと仲良くできるように、とか~?」
「ううん。ボクは、世界人類が平和でありますように、ってお願いしたー」
スケールでかっ! ・・・ところでそのお賽銭はいくら?」
「5円だよー」
「世界平和安っ!」
「なんとも費用対効果が甚だしい願いだな」
「うちの神社も、その願いはそう簡単に聞き届けられないと思うわ」
「えー、でも5円だからご縁がありますように、って」
「いや、ご縁は世界平和と関係ないから~」
「あはは。美沙ちゃんはなんてお願いしたのー?」
「え、そのタイミングで私? 私は――」
「どうせ野球部の甲子園出場でしょ~」
「な・・・!」
「どうやら的中したようだな」
「あやめちゃんすごーい!」
「ふっふっふ、美沙ちんの考えなんてお見通しだもんね~」
「なんかあやめに当てられると無性に悔しいわ・・・・・・」
「美沙ちんも野球部ばっかりじゃなくてさ、もっと自分のことお願いしなよ~」
「自分のこと?」
「そうそう。例えば今年こそは雅志っちと・・・・・・って美沙ちん! フォークをこっちに向けないで!
「今年こそは何かしら? あやめ」
「あやめ、命が惜しければそこで止めておくんだ」
「むぐう・・・・・・。危うく美沙ちんから物理的なツッコミを受けるとこだったよ~」
「はわわ、あやめちゃんがピンチ! 世界人類が平和でありますようにー!」
「・・・・・・葵、本気でやるわけないからそこで両手合わせてお願いしないの」
「はへ? そーなの? ボクはてっきりひと思いに刺すものかとー」
「一ついいかしら? 葵の中で私はどういう人物なの?」
「美沙ちゃん? 美沙ちゃんは・・・・・・ツッコミクイーンかなー」
「9ヶ月一緒にいて、私って葵にとってそんな位置づけなのね・・・・・・」
「しかし新入生オリエンテーション合宿で出会ってから9ヶ月か。早かったな」
「そだね~。あれからずっと仲良しだもんね~、さっきは危うく刺されかけたけど~」
「あやめは初めて会った日から相変わらず冗談きついわね」
「そういう美沙ちんも相変わらずツッコミ冴えまくってるよん」
「葵は初めの頃と比べて、随分話すようになったな」
「そう? ボク話せるようになったー?」
「そうね。今は自然に話せているんじゃないかしら?」
「にゃはは。これも全てあたしのおかげね~」
「うん、みんなのおかげだよー」
「なんか葵ちんにやんわりと否定された・・・・・・」
「葵は積極的になりたいと言っていたから、よい傾向だな。それに比べ私は相変わらず堅いままだ」
「そうかしら? 確かに口調は堅いかもしれないけど、私は涼子は真面目なだけだと思うわよ」
「そだよ~。涼子ちんは美沙ちんと比べてすぐに宿題写させてくれるから、ちっとも堅物じゃないよ~」
「あはは、美沙ちゃん堅物ー」
「だって毎回見せてたらあやめのためにならないでしょう!」
「え~、毎回じゃないよ~。5回に4回くらいだよ~」
「十分多いわよ!」
「ふむ、確かに美沙の言う通りあやめのためにならないかもしれない。今後は安易に宿題を見せるのはやめよう」
「そ、そんにゃ~・・・・・・」
「あ、ところであやめちゃんの印象だけどさー」
「私も多分葵と同じことを考えていると思うわ」
「ふむ、おそらく私もだ」
「にゃ? 3人お揃いで何かにゃ?」
「じゃあ3人で一緒に言ってみよっかー」
「えぇ、そうね」
「うむ、わかった」
「せーの」
「「「全く変わってない」」」
「・・・・・・これは喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか、どっちなのかにゃ」

 

 

 



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