【日常短編小説】ある日の4人 ~2月~

【日常短編小説】ある日の4人 ~2月~

 

こんにちはなの!モロくんなの!

こっけ~:「モロのかいぬし、こっけ~ですー。土曜日は小説の日~」

今回はバレンタインの小説なの!

 

※ これまでの小説はこちら

 

 

 

 

 

ある日の4人 ~2月~

 

 

 

 

 

 

「葵ちん~」
「んー、なにーあやめちゃん?」
「もうすぐあの日だね!」
「あの日?」
「乙女全てが待ち焦がれる、胸が高鳴るあの日だよ!」
「えー、そう? ボクは胸が高鳴るっていうよりはお腹の方が痛むかな」
「にゃ・・・?」
「それに別に待ち焦がれないかなー。体育休まないといけない時もあるから・・・・・・」
「あ、違う違う! あの日ってそっちじゃない!」
「はへ?」
「あの日って2月14日、バレンタインデーだよ!」
「あ、そっちかー」
「ものすごい勘違いだよ、葵ちん。ある意味天才かも」
「天才だなんて照れるなー」
「・・・褒めてない」
「ところでバレンタインデーがどうかしたの?」
「にゃ!? まさかバレンタインデーのこと知らないとか言わないよね」
「それぐらい知ってるよー。女の子がスキな男の子にチョコをあげる日だよねー」
「よかった~、いくらミラクル天然な葵ちんだからってバレンタインデーも知らないわけないよね」
「あったりまえでしょー」
「で、どうするつもり?」
「何がー?」
「何がー? じゃなくてどうするの? バレンタイン」
「・・・・・・はへ?」
「も~、じれったい! だからバレンタインデーは翼っちにどうするつもりなのかなって聞いてるの!」
「翼がどうかしたの?」
「あれ、なんだか話がうまく噛み合わないにゃ・・・・・・。えっと、翼っちは葵ちんの彼氏でしょ」
「そーだけど・・・ってあーーーー!!
「にゃにゃっ!? びっくりするじゃん! いきなり叫んで何事!?」
「そうだ、ボクは翼のことがスキなんだった! バレンタインデーに何かあげなきゃ!」
「・・・・・・えーっと。回答が予想をはるかに上回っていてどこからツッコめばいいものやら・・・・・・」
「はわわ、どうしようどうしよう・・・・・・」
「あの~、葵ちん?」
「うーんと・・・あ、うん、何?」
「葵ちんは翼っちのことホントにスキなんだよね・・・?」
「もちろん!」
「わぁ、笑顔が眩しい! ・・・ってだったらなんでバレンタインデーってなった時にすぐに出てこないかな?」
「だって今までバレンタインデーなんてボクには関係なかったからー・・・・・・」
「事情はわかった。でも納得はいかない・・・・・・」
「どうしよう、バレンタインデーって来週だよね、どうしよー・・・・・・。あやめちゃんはどうするの?」
「あたし? あたしはマイスウィートダーリンの孝幸にチョコをあげるよ~」
「どんなチョコ?」
「あたしは料理できないから、市販で売ってるやつかな~。あ、でもものすごい大きいやつにするよん」
「なんで?」
「だって孝幸は甘いもの食べられないもん。だから結局あたしが食べることになるからね~」
「そーなんだー」
「・・・はっ!? 葵ちんが相手だとあたしへのツッコミが不在だ! こんな時は・・・・・ねぇねぇ美沙ちん~」
「あら、あやめ。何かしら?」
「あたしバレンタインデーに孝幸に特大チョコあげるんだ~。孝幸はチョコ食べられないから、あたしが食べれるしね~」
「・・・・・・あなた本当に食い意地だけは人一倍ね。自分が食べること前提でチョコレートを選ぶなんてびっくりだわ」
「はい! ツッコミふたついただきました、ありがとうございます~」
「え?」
「いや、あんま気にしないで~。あ、美沙ちんはどうするの? バレンタイン~」
「え、私? 私は・・・・・野球部のみんなにあげるくらいよ」
「そっか、美沙ちゃんは野球部のマネージャーだもんねー」
「さすが葵ちん、会話文だけの話に必要な説明、ありがとう!」
「はへ?」
「あ、いやこっちの話~。ところで美沙ちん、野球部にってことは雅志っちにもあげるの~?」
「そ、それは雅志も野球部の一員だからもちろん・・・あやめ、何よその目は」
「べ~つ~に~」
「・・・・・・」
「ところで美沙ちゃんが雅志君にあげるのは、本命のチョコ?」
「えぇ!?」
「さすが葵ちん! デリケートな領域にも躊躇なく踏み込んだ!
「あ、あやめうるさいわよ!」
「そんな照れないで~。で、どうなの?」
「・・・・・雅志は彼氏でもなんでもないんだから、本命チョコも何もないわ」
「じゃあ他の部員にあげるのと同じチョコなんですか~、姐さん」
「誰が姐さんよ! それはまぁ、雅志は昔からの幼馴染だし、他の人とは少しは違うけど・・・・・・」
「そうなんだ~、にやにや
「何にやにやしてんのよ! っていうか擬態語を口に出さない!」
「”ぎたいご”って何ー?」
「葵ちん・・・今の問題はそこじゃないよ」
「はへ?」
「そういうあやめはどうなのよ、バレンタイン」
「あたしはさっきも言ったけどスウィートダーリンの孝幸にあげるよん~」
「そうじゃなくて。しないの? 告白」
「・・・え?」
「え? じゃないわよ、あなた真田君と正式にお付き合いしてるわけじゃないでしょ」
「いやまぁそれはその、あたしと孝幸は長い付き合いだから彼氏とかそういうのとは違うっていうか~・・・・・・」
「声小さくなってるわよ。普段あんなに真田君にべっとりくっ付いてるのに」
「ほらそれはね、仲良しこよしの延長線上みたいなもので~・・・・・・」
「ボク思うんだけど、あやめちゃんも美沙ちゃんも相手が幼馴染だから今の関係を壊すのが怖くて一歩踏み出せないだけだと思うんだよね」
「にゃ!?」
「え!?」
「幼馴染で長く付き合ってきたからその関係を打ち破るのは大変かもしれないけど、勇気を出したら相手はきっと応えてくれると思うな」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「はへ? どーかした?」
「葵ちんって、たまに全て計算ずくで行動してるんじゃないかって思うんだよね~」
「えぇ、今の言葉はとても天然キャラが言う台詞じゃないわ」
「あのー・・・・・・」
「しかもさっきの葵ちんの言葉、語尾も延びてなかったし。やっぱり全て計算なんじゃ・・・・・・」
「だけど今まで全て計算で行動してきたのだとしたら、それは驚くほど狡猾だわ」
「あやめちゃーん? 美沙ちゃーん?」
「そうなんだよね~、普段の葵ちんを見てるととても計算でやってるとは思えないし~」
「つまり通常では考えられないほど天然さが発達していて、それが一周して時折鋭い台詞を言うのかもしれないわね」
「もしもーし」
「あ、ごめんごめん。・・・お、あそこに涼子ちん発見! 涼子ちん~」
「む、あやめか」
「ってなわけでここでクール&ビューティー、涼子ちんの登場です~」
「誰に説明しているんだ?」
「まぁお気になさらず~。ところで涼子ちんはバレンタインデーどうするの?」
「・・・ばれんたいんでー?」
「おっと! この平仮名表記はもしかして『バレンタインデーなんてものは知りません』パターンか!?」
「いや、知っている」
「ありゃ。じゃあそりゃまたなんでそんな平たい発音を?」
「単純に英語の発音が苦手なだけだ」
「ん~、英語の発音とはまた違う気がするけど・・・・・・。でもまぁ知ってたからいいや~」
「うむ。ばれんたいんでーはかつてローマでバレンタイン神父が殉教した日なのだが、菓子業界の戦略によって女性がチョコレートを渡すように仕立て上げられた日だったな」
「あ~、そっちか~! 『夢のない発言』パターンだったか~!」
「へー、涼子ちゃん物知り!」
「いや葵ちん、そこ関心するとこじゃないから!」
「それはさておき涼子は、バレンタインデーは誰かにチョコをあげるのかしら?」
「うむ。普段お世話になっている生徒会や弓道部の方々に感謝の意を込めて配ろうと思っている」
「涼子ちんは本命チョコ・・・・・・なさそうだね~。もう”配る”っていう言葉使ってるし~」
「そのチョコは手作り・・・・・じゃないわよね。涼子だし
「うん、手作りチョコなわけないもんね~、涼子ちんだし
「いくらなんでも感謝のチョコで問題を起こすわけにもいかないもんねー」
「さ、三人ともなんだんだその決めつけは! しかも最後の葵の発言は言葉の暴力だぞ!」
「でも・・・ねぇ?」
「だって・・・ねぇ?」
「うん。涼子ちゃんが作る料理って、とんでもなくひどいもんねー」
「さすが葵ちん! 言いにくいことを代わりに全て言ってくれる!」
「葵・・・さすがに私も、傷つくぞ・・・・・・」
「そ、そうよ葵! たとえ真実でも言っていいことといけないことがあるでしょう!」
「美沙・・・もういい、やめてくれ・・・・・・」
「あ、涼子ちんが地味にかなり落ち込んでる~」
「いや涼子、別にあなたの料理の腕前が下手とか、そう言ってるわけじゃないのよ。ただちょっと・・・・・・そう! 個性的なだけ!」
「うわ~、旅番組の地元料理を食べて正直に感想を言えない時に言う玉虫色の答えだ~」
「あやめうるさい!」
「そうそう、涼子ちゃんの料理って個性的だよねー。焼き魚にケチャップをかけるって聞いた時はびっくりしたー!」
「あぁ、そんなのもあったにゃ~・・・・・・」
「む、焼き魚にケチャップと言うのは理にかなっているぞ。魚は栄養価が高いが、含まれていない栄養素をケチャップが・・・」
「その話はやめましょう、涼子。墓穴を掘るわ
「・・・・・・わかった」
「えーっと、話がそれちゃったけど涼子ちんは結局市販で売ってるチョコをみんなに配るってことだよね~」
「あぁ。できれば自分で手作りしたいが・・・・・・」
「だけど手作りチョコなら溶かして型に入れるだけだから、涼子でもできるかもしれないわね」
「そっかー、涼子ちゃんにできるってことはボクにもできるかなー?」
「葵ちんがさりげなく失礼なことを言ってるけど今に始まった話じゃないからスルーしよう。それはさておき手作り案はいいかもね! できればあたしも手作りがいいし~!」
「あら、あなたは自分で食べるんでしょう?」
「ほら、でもやっぱり手作りの方が相手に与えるポイントが高いじゃん~」
「私もできれば手作りのものを配りたい。特に生徒会の方々は日頃業務が忙しいから、健康になってもらえるように栄養価の高いものを配合――」
「涼子ちんストップ! 栄養価より味を! 味を優先してあげて!」
「そうよ、『薬も過ぎれば毒となる』ということわざもあるわ!」
「・・・・・・わかった」
「じゃあさじゃあさ、みんなで一緒に作ろうよ^! そしたら生徒会の人たちの命も救えるよー!」
「さすが葵ちん、発言に遠慮と容赦がない! でもそれいいアイディアだね~」
「うむ、私としても誰かに作り方を仰ぎたいものだ」
「となるとやっぱりここは・・・・・・」
「美沙ちゃん、ボクたちのコーチをお願いします!」
「えぇ、私?」
「頼む、美沙師範」
「よろしくです、姉御!」
「誰が姉御よ! ・・・まぁわかったわ。みんなの役に立てるし、生徒会の人の命も救えるようだし」
「美沙・・・・・・」
「よし、決定だねー!」
「じゃあバレンタイン前日、13日に美沙ちんの家に集合ってことで~!」
「了解した。ところで美沙、材料のことなんだがパセリ
「涼子ちんはチョコレート以外の持ち込みは禁止!」
「む、まだ言い切っておらぬというのに・・・・・・」
「わーい、久しぶりに美沙ちゃん家だー!」
「美沙ちんって実家が神社っていう、無駄な設定があるんだよね~」
「無駄って何よ! っていうか設定って何よ!
「いえいえこちらの話です~。それじゃあおうちの人に連絡よろしく~」
「わかったわ。各自必要だと思うものを自分で持ってきてね」
「その件なんだが、チョコにさば
「涼子ちんはチョコレート以外の持ち込みは禁止!!」

 

 

 

「美沙ちゃん家でチョコレート作り、楽しみだなー! 翼にどんなチョコあげよう? サッカーで骨折しないように煮干しでも入れようかな?」

 

 

 

・・・!?
「どうした翼?」
「いや、なんだか今寒気がしたんだが・・・。気のせいかな・・・」

 

 

 



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