【日常短編小説】ある日の4人 ~4月~

【日常短編小説】ある日の4人 ~4月~

 

こんにちはなの!モロくんなの!

 

こっけ~:「モロのかいぬし、こっけ~ですー。今日は小説の日!」

 

前回載せた『キミと夏の終わり』に出てくる主人公の、番外編なの!

 

※ 短編シリーズの目次はこちら

 

 

 

 

 

 

ある日の4人 ~4月~

 

 

 

 

 

「宿に着いた~!」
「うむ、なかなかいい部屋だな」
「青陽学園高校からバスで2時間半、さすがに少し疲れたわね」
「・・・・・そ、そーだね」
「にしても学校が始まって3日目に2泊3日の『新入生オリエンテーション合宿』だなんて驚いたにゃ~」
「む、確か高校案内の冊子に書いてあったと思うが?」
「私もこの高校にお姉ちゃんがいるから聞いていたわ。さてと、部屋にも着いたことだし、まずは自己紹介でもしましょうか」
「さ~んせ~い」
「いい考えだな」
「あ・・・・・・うん」
「じゃあ発案者の私から始めるわね。私は神楽 美沙、実家は神社よ。野球が好きで、高校では野球部のマネージャーをしようと思ってるの。よろしくね」
「よろしく神楽さん~!」
「うむ、よろしく頼む」
「えっと・・・・・・よ、よろしく」
「そんじゃ次はあたしが行くね~! あたしの名前は上田 あやめ。いつも元気なスーパー美少女! なんちって~。好きなものは甘いもの! よろしく~!」
「上田さんね、よろしく」
「よろしくな」
「よ、よろしく・・・・・・」
「では私も行うか。名は本多 涼子。小学校、中学校では生徒会を務めていた。得意なものは日本武道だ。よろしく頼む」
「よろしくねん~」
「よろしく、本多さん」
「よろ、しく」
「さてと最後は・・・・・・あら、もうそろそろ集合の時間だわ。えっとあなたは・・・・・・」
「・・・・・・あ、ぼ、ボクは日向 葵です」
「日向さん、ね。ごめんなさい、まだ学校始まって3日だからクラスのみんなの名前を覚えていなくて」
「い、いえ・・・・・・」
「日向さんには悪いけど、日向さんの自己紹介は部屋に戻ってきたあとにしましょう」
「えっと集合場所ってどこだっけ~?」
「確かロビーだったと思うが」
「さすが本多さん、しっかり者~!」
「それじゃあ行きましょう」

 

 

「山歩き疲れたにゃ~・・・・・・」
「まさかあれほど厳しい山道だったとはな」
「『新入生オリエンテーション合宿』の1日目からこれだと、明日からは一体どうなるのかしら」
「・・・・・・」
「あ、そういえば日向さんの自己紹介がまだだったね~!」
「・・・!」
「うむ、そうだった。疲れてるところ大変だが、頼んでよいか?」
「あ、えっと・・・・・・」
「にゃはは、日向さんはシャイだね~。カ・ワ・イ・イ!」
「そ、そんな、ボクは・・・・・・」
「顔赤くしちゃって~。照れ屋さん~」
「上田さん、あなたがしゃべってたら日向さんが話せないじゃない」
「おっと、ごめんね~。それじゃあ自己紹介をどうぞ!」
「あ、あの、ボボボボクは、ひ、日向 葵・・・・・・」
「む、すまないが最後の方が聞き取れなかった。もう一度頼む」
「ぼ、ボクは! ひひ、日向 葵です! よよよろしく!」
「よろしくねん~」
「よろしくね、日向さん」
「うむ、よろしくな」
「・・・・・・」
「それで~?」
「え、えっと、終わりだけど・・・・・・」
「にゃ!? いやもうちょっと何かない? 例えば・・・・・・好きなものとか~」
「え、えっと好きなものは・・・・・・」
「何かしら?」
「・・・・・・家族、かな」
「ふむ、家族か。兄弟はいるのか?」
「うん、瑞希・・・・・・妹が、一人」
「そっか~、あたしは一人っ子なんだよね~。神楽さんと本多さんは?」
「私は姉が一人いるわ。この青陽学園高校の3年生にいるわよ」
「うむ、私には弟がいる」
「兄弟いいにゃ~、今からあたしも頼もっかな?」
「う、上田さん・・・・・・」
「神楽さん、冗談だよ~。あたしの話はほとんどが冗談でできてるから! って自分で言うなって話だよね~、にゃはは」
「冗談ねぇ・・・・・・」
「あ、でも上に兄弟ほしいのはホントだけどね~。・・・・・・そだ! 神楽さんお姉さんになってよ!」
「え、えぇ?」
「そうなると”神楽さん”はおかしいか。美沙姉さん、美沙ねぇ、美沙おばさま・・・」
「だ、誰がおばさまよ!」
「冗談だってば~。・・・・・・あ、じゃあ美沙ちんで!」
「美沙・・・ちん?」
「うん。なんか”ちゃん”って呼ぶ感じじゃないし、だから美沙ちん。本多さんも涼子ちん、日向さんも葵ちんね!」
「む・・・・・・」
「あれ、涼子ちん、この呼び方イヤだった?」
「いや、そうではない。ただ、今まで家族以外の者に名前で呼ばれたことがあまりなかったからな。少し驚いただけだ」
「そうなの~? でも下の名前の方がいいよ! 仲がいい感じで~」
「なるほど。それでは私も上田さんのことをあやめさんと呼ぼう」
「”さん”なんていらないよ~。あやめって呼んで!」
「そうか。では改めてよろしくな、あやめ」
「うん! ところで葵ちんはさっきから黙りっぱなしだけど大丈夫~?」
「はへ!? あ、う、うん。ダイジョブ、ダイジョブ」
「葵ちんもあたしのこと下の名前で呼んでね?」
「うん、あやめ・・・ちゃん」
「ちゃん?」
「あ、ごごごめん! なんかその、呼び捨てにするの恥ずかしくて・・・・・・」
「そっか~、でもあやめ”ちゃん”でもいいよ~! なんかカワイイし~!」
「あやめに涼子に葵、か。下の名前で呼ぶと急に親密になった気がするわね」
「でしょでしょ~、ではこの調子で続いて質問ターイム! お互いのことを質問しちゃおう! ってなわけであたしから美沙ちんに質問!」
「あら、何かしら?」
「どうしたら美沙ちんみたいに背が高くてナイスバディーになれるんですか~?」
「え、えぇ?」
「だって美沙ちんってモデルさんみたいに背が高いしさ~、ウエストも細いしさ~」
「あやめも十分細いと思うぞ」
「でもあたしは背もちっちゃいし胸もぺったんこだもん。美沙ちんがうらやまし~、体取り換えて~!」
「そ、そんなの無理よ! あなたもそのうち背が伸びると思うわよ」
「でも高校入ったのにまだ150cmもないんだよ~? 葵ちんだって美沙ちんみたいな体型うらやましいよね~?」
「え? そ、そうかな」
「だって見てよ~! 長くて艶やかな黒髪、細く伸びた足、そしてボンキュッボンのダイナマイトバディー!
「あやめ、言ってることがオヤジ臭いわよ。・・・・・・じゃあ今度は私から涼子に質問するわ」
「む、なんだ?」
「山歩きの前に自己紹介した時、日本武道が得意って言ってたけど何かやっているのかしら?」
「私の父上は剣道の道場を開いているので幼い頃から稽古をしている。他にも空手や柔道ならかじったことがある」
「へぇ、そうなの。高校では何か部活に入るのかしら?」
「うむ。まだ検討段階だが弓道に興味がある」
「涼子ちんかっこいい!」
「いや、私など父上に比べればまだまだ遠く及ばない。それと、生徒会に入りたいとも考えている」
「そういえば小中と生徒会って言ってたもんね~」
「うむ。といってもこればかりは選挙の結果次第だがな。それでは次は私が葵に質問するとしよう」
「え、ぼ、ボク?」
「葵はなぜ一人称に”ボク”を使っているんだ? 少し疑問に思ったのだが」
「あ、あたしもそれ思った~」
「へ、変かな・・・?」
「変というわけではないが、女性が一人称に使うのは珍しい。何か理由があるのか?」
「えっと・・・・・・ボクが小さい頃に引っ越した時、新しい街で迷子になっちゃったんだー」
「うむ」
「その時に旅人のお姉さんが助けてくれて、その人が自分のことを”ボク”って呼んでて・・・・・・」
「なるほどね~、それで葵ちんはその人に憧れて真似をするようになった、と」
「うん。その人はすごく強くてかっこよくて、ボクもあの人みたいに強くなりたいなって思ったんだー」
「へぇ、そうだったの。ところで引っ越しって言ってたけど、前はどこの街に住んでたの?」
「いろんなとこだよ。お父さんが仕事で転勤をいっぱいしてて、今まで3回? 4回? 引っ越ししたかな」
「ふむ、大変だな」
「ううん、そうでもないよ、慣れちゃったー」
「葵ちん・・・・・・引っ越してもあたしたちのこと忘れないでね!」
あやめ! 不謹慎なこと言わないの!」
「にゃはは、ごめんね~」
「う、ううん、いいよ」
「葵からは誰かに質問ないか?」
「はへ? うーん・・・・・・。じゃあ、あやめちゃんに質問」
「にゃ、あたしに質問? ど~んとこい、何でも答えてあげる~!」
「えっと・・・・・・どうしたらあやめちゃんみたいに、積極的にしゃべれるようになるかな・・・?」
「お、おぉ・・・・・・なんか思ったよりもすごい質問だにゃ~。人生相談みたい~」
「ご、ごめんね」
「いや、びっくりしただけだから~。だけど・・・う~ん、難しい質問だにゃ~・・・」
「葵は積極的になりたいのか?」
「う、うん。ボクいつもなかなか言いたいこと言えないんだー」
「それなら逆に聞くけど、葵は今、自分はどうして消極的だと思ってるの?」
「えーっと・・・・・・。ボクは話すのが下手だから、他の人が聞いたらイヤに思うかも、と思って・・・・・・」
「ふむ、周りの人に遠慮してしまうんだな」
「なんだ葵ちん、そんなこと考えてるの~? そんなこと気にしなくていいのに~?」
「そうよ、あやめを見てごらんなさい。周囲のことなんて少しも気にしてないわ」
「ちょっと美沙ちん、それどういう意味!?」
「冗談よ。さっきまでのお返し」
にゃ!? してやられた~・・・・・・」
「それはさておき葵、不安がる気持ちはわからないでもないけど、そんなに恐れることないわよ?」
「うむ。周りは葵が思ってるよりも寛容だ。現に私たちは今まで葵に対して全く不快だと思わなかった」
「そうそう! もっと自信持って~、あたしたちはなんでも聞くからさ~! 友達だもん!」
「友達・・・・・・」
「あら? 違ったかしら? 私は葵のこともうとっくに友達だと思ってたけど」
「私もだ。私たちがこの『新入生オリエンテーション合宿』で同じ部屋になったのもきっと何かの縁に違いない」
「そゆこと~! あたしたちは友達なんだから遠慮なんていらないよ~!」
「友達・・・・・・うん! ありがと!」
「にゃは、葵ちんが初めて笑った~!」
「あなたは笑っている方が何倍も素敵よ」
「そ、そうかな・・・?」
「うむ、葵には笑顔がよく似合う」
「あはは。あおいちゃん、美沙ちゃん、涼子ちゃん、みんなありがとー!」

 

 

「3日間の新入生オリエンテーション合宿もようやく終わったわね」

「うむ。初日の山歩きはすこし大変だったが、陶芸や乗馬など貴重な体験ができたな」
「バーベキューも美味しかったしね~!」
「それにしてもあやめはよく食べたわね・・・・・・」
「にゃはは、お菓子もリュックいっぱいに持ってきたよ~!」
「でもあやめちゃんはそんなに食べるのになんで大きくならないんだろー?」
「葵ちんひどい! それ気にしてるのに~!」
「はわわ、ごめんね・・・!」
「ふふ、でも葵も前より話す回数が増えてきてよかったわ」
「そうだな。たまに今のように辛辣な言葉を放つが」
「ぐすん、葵ちんの意地悪・・・・・・」
「はわわ、ごごごめん!」
「でも葵の場合、まったく悪気がないのよね。ある意味恐ろしいけど」
「天然、というやつだな」
「えぇ。・・・・・・こらあやめ、あなた落ち込んだふりしてあんまり葵を困らせないの」
「にゃ? バレてた?」
「当たり前よ。葵もまともに取り合ったらだめよ」
「・・・・・・はへ?」
「む、そろそろバスへ移動の時間だ」
「本当ね。みんな、忘れ物はない?」
「ないで~す」
「ないよー」
「それでは出発よ」
「うむ。高校に戻るのだったな」
「高校に帰るまでが合宿です! なんちって~」
「そんなこと言ってる間に置いてくわよ」
「うわ~ん、美沙ちん待って~」
「・・・・・・あ、みんな」
「にゃ? どしたの、葵ちん」
「む?」
「何かしら?」
「あの、高校に戻っても、トモダチでいてね!」
「もちろんだよ~、葵ちんはあたしのマブダチだもん!」
「こちらこそよろしくな。これからも仲良くしよう」
「改まっちゃってどうしたのかしら? もちろんそのつもりよ?」
「あはは、そっかー。うん、気にしないで」
「変な葵ちん~。それじゃ今度こそレッツゴー!」

 

 

 

「みんな・・・・・・ありがとう」

 

「すぐに引っ越すから友達を作るのを避けてたけど、みんなとならいいトモダチになれる気がするよ」

 



また「もろたび。」を読んでくれたら嬉しいです。
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こっけ~:「というわけで、前編会話のみのお話、『ある日の4人 ~4月~』でしたー」

 

4月ということは他の月もあるなの?

 

こっけ~:「あるんだけど、9月と3月だけ書いてないんだよねー」

 

とりあえず、5月になったら5月をまた載せるなの!

 

 

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