「昨日は一度ならず二度も人間の急所を突いてすいませんでした」

「昨日は一度ならず二度も人間の急所を突いてすいませんでした」

 

こんにちはなの!モロくんなの!

こっけ~:「モロのかいぬし、こっけ~ですー。今回は小説だよー」

 

※ 前回の話はこちら。

 

 

 

 

 

屋上

 

 

 

 

「昨日は一度ならず二度も人間の急所を突いてすいませんでした」

 

 

 

屋上の扉を開けると、今日は既にあいつがいた。
そして俺の姿に気付くとすぐさま走り寄ってきて、開口一番頭を下げた。
人が謝ってるのにそれを無視するのもなんなので、仕方なく俺は応える。
「ん」
「私、恥ずかしくなるとつい手が出てしまって・・・・・・大丈夫でしたか?」
つい手が出たという割には的確に鳩尾を突いていたけれど、所詮は一時的なダメージだ。あと30cm下だったらもっとやばかったけど。
「そんなに気にすんな。それに俺もいいもの見せてもら」
「先輩。もう一発いかがですか?」
冷酷さが混じったあいつの声を聞いて、俺は本能的にふるふると首を横に振る。
あいつは鼻から一つため息をつくと
「せ、先輩は・・・・・・」
少し恥ずかしそうにもじもじしながら話し始めた。
「先輩は、その、私の―――見たいんですか?」
「へ!?」
俺は思わず変な声を出してしまった。しかしそれを意に介さずあいつは続ける。
「あの、も、もし先輩が見たいなら、私、いいですよ・・・?」
そう言ってあいつは自分のスカートに手をかける。
「いや、そんなの、別に」
俺はしどろもどろな制止の言葉をかけようとするが、あいつの手から目が離せない。
白くて細い手は少しずつその高さを上げ、スカートの下に膝が見え、腿が見え、そして
「先輩・・・!」
あいつはスカートを一気にめくり上げると―――
「あははははは!」
目に飛び込んできたのは当校指定の青色のジャージ(ハーフパンツタイプ)。
「あははは! 先輩見過ぎですよ! あははは!」
俺はあいつに背中を向ける。
「もう、私はそんなはしたないことする女じゃ――ってあれ? 先輩?」
「・・・・・・」
いや、その、なんだ。
モノが見えなくても、なんかスカートをめくり上げる行為が、ちょっとアレだ。
「先輩ー? どうしましたー?」
自覚が無いのは、時に罪だと思う。

 

「それにしてもお前、毎日屋上に来るよな」
「そんなことないですよ。土日と祝日は来てません」
「・・・・・・つまり学校がある日は毎日ってことだな」
「だって先輩が毎日屋上にいますから」
そしてえへへ、と照れながら笑う。照れるくらいなら言わなきゃいいのに、と思いつつ俺もなんだか目を合わせられない。
「あれ、先輩照れてます?」
「照れてねぇよ」
「隠さないで下さいよ」
「隠してねぇよ」
「またまたあ!」
そして気付く。俺はいつの間にこいつと普通に話すようになってしまったのだろうか。
まぁ、そんなに嫌ではないけど。
かといってこちらから話すことはないので、こいつが話すことに対して答えるのみだけど。
「あ、先輩に一つ訊きたいことがあったんですけど」
「なんだ」
「先輩って不能ですか?」
「ぶはっ!」
なんなんだこいつ。・・・なんなんだこいつ!
「どうしたらそうなるんだ」
「だって先輩、私に対して微塵も興味抱かないじゃないですか。だから」
「それだけで不能に直結させるな」
「じゃあ他に一体何が考えられるっていうんですか!」
「むしろ他に一体何も考えられんっていうのか!?」
いかん、こいつが変なこと訊くもんだから声を荒げてしまった。
「えー、だって可愛い後輩が毎日会いに来てあげてるんですよ? 少しは興味持ったっていいじゃないですか」
「来てくれだなんて頼んだ覚えはない」
「じゃあ明日から一切来なくなっても先輩は寂しくならないんですか?」
寂しくなんかねぇし。
即答しようと思ったのだが、できなかった。ワンテンポ遅れて
「・・・・・・別に」
やや柔らかめの答えを返した。
「ほら、やっぱり先輩は不能ですよ。そうでなかったら男色?」
「仮にでも女の子なんだからそういう言葉は言わない方がいいと思うぞ」
「仮にでもって! 私は100%純国産の女の子です! ・・・って」
あいつは顎に手を当てて何やら少し考えていた。そして
「先輩、私のこと女の子として見てくれていたんですね!」
両手を胸の前で合わせて、これ以上ない満麺の笑みで俺の方を見た。
「いや、だって一応女だし」
「先輩、私のことを一人のレディーとして見てくれていたんですね!」
「レディーと言うよりはガールだろ」
「先輩、私のことを女性として意識してくれていたんですね!」
「段々意味が飛躍しているぞ!」
ここで俺は突き放す言葉もかけられただろう。
だけど、あまりにも嬉しそうにしているこいつを見たら毒を吐くことが躊躇われてしまった。

 

 

 

続く

 

 



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