【中篇小説】メリークライシス! -3. When can we meet up?-

【中篇小説】メリークライシス! -3. When can we meet up?-

 

こんにちはなの!モロくんなの!

こっけ~:「モロのかいぬし、こっけ~ですー。今週は忙しくて、更新全くできなんだー」

というわけで、2記事連続で小説なの!

 

※ 前回の話はこちら。

 

 

 

 

 

メリークライシス!

 

 

 

 

メリークライシス!
-3. When can we meet up?–

 

 

 

 

待ち合わせの時刻から40分が過ぎた。
葵のことをのべ1時間以上待っている俺は、もはや寒いという感覚すらなくなってきた。
ところでいつまで俺はここにいればいいのだろう。
いや、葵が来るまで待ち続ける。それが男のプライドだ。そんなことを考えた、その時
「うわ、寒っ!!」
ひと際強い北風が吹きつけてきて、臨界突破したはずだった肌が寒さを感知した。
屋内へ避難したい・・・・・・。男のプライドが一瞬で揺らぐ。
しかし、俺がいなくなった直後に葵が来るんじゃないだろうか、という懸念がある。

男のプライド≦寒さ<<<葵

頭の中でそんな式が浮かぶ。うん、まだこんなこと考えてられる余裕があるな。
とりあえず、1時間経過までは待とう。

 

 

交差点を渡りきった私は、拾った手袋を捨てるわけにもいかないので、私はお巡りさんに渡すことにした。ちょうど紺色の制服の人がいたので
「あのー、この手袋拾ったんですけど・・・・・・」
「はい? この建物の前ですか?」
「あ、いえ、あの交差点の向こう側です」
「あー、じゃあ私じゃなくて、お巡りさんに渡してもらえるかな?」
「はへ? おじさんは、お巡りさんじゃないんですか?」
「私は警備員だよ」
「はわわ、失礼しました!」
ということがあった。銀行の前だから、銀行の警備員さんだったのだろう。同じような制服だから間違えてしまった。
ところでどこにお巡りさんはいるのだろう。私は頭をひねり、そしてお巡りさんは交番に居るという結論に至った。
そんなわけで交番を探すことにしたのだけど、坂江にある交番の場所なんてわからない。誰かに訊かなくては。
けれどまた誰にも話しかけられないまま私が歩き回っていると
「・・・・・・あ!」
再び紺色の制服の人を発見した。『警察官』というワッペンがついているので今度は本物だろう。
お巡りさんなら絶対交番の場所を知っているはずだ。
「あ、あのー、すいません!」
「はい、なんでしょうか?」
「交番の場所を教えて下さい!」
「交番ですか? それなら・・・・・・」
お巡りさんは丁寧に交番の場所を教えてくれて
「ありがとうございます!」
私は教えてもらった方向へと歩き出した。
「ちょうどいいところにお巡りさんがいてくれてよかったー」
ツイてるな、と思いながら歩く。歩く。歩く。
「・・・・・・あれ?」
そして歩きながら気付く。
「今のお巡りさんに手袋を渡せばよかったのかな・・・?」
お巡りさんに会うために交番に行くのに、交番の場所をお巡りさんに訊くだなんて。
私は今来た道を振り返ったが、お巡りさんの姿はない。遅かった。
「・・・・・・仕方ないや、交番に行こーっと」
私は交番へ向かう。

 

 

待ち合わせの時刻から、1時間が経った。
「・・・・・・1時間15分まで待つかな」
俺はひたすら待つ。

 

 

交番にいたお巡りさんに手袋を渡して、私は一息ついた。
そして、重要な事を思い出す。
「あ! 翼を待たせっぱなし!」
急いで待ち合わせ場所に行かなくちゃ。あ、でもツリーの場所がわからないんだっけ。
とりあえず翼に電話しよう。そうしよう。
私は公衆電話を探す。探す。探す。

 

 

待ち合わせの時刻から、1時間15分が過ぎた。
「・・・・・・ここまで来たら、1時間半だって同じことだな」
俺はひたすら待つ。

 

 

ようやく公衆電話を見つけることができたが、既にボックスの中にはスーツ姿のおじさんがいて、電話を使っていた。
仕方なく外で待つけれど、おじさんの通話はなかなか終わらない。
しばらくたっておじさんが出てきたので、私は電話をかけようとした。したのだけど。
「あれ? 10円玉がない・・・・・・」

 

 

待ち合わせの時刻から、1時間半が過ぎた。
「・・・・・・もう2時間でも待ってやるぜ!」
俺はひたすら待つ。

 

 

お金を崩そうと歩きまわっていると、さっきの交番のところに戻ってしまった。
「そうだ! 警察の人に電話を貸してもらおう!」
私は交番の中へ入る。
「あ、あのー・・・・・・」
「はい! ・・・あれ? 君はさっきの・・・?」
「あ、はい。あの、電話を貸してもらえないでしょうか? 公衆電話使おうとしたら10円玉がなくて・・・・・・」
「電話? えぇ、いいですよ。どうぞ」
お巡りさんが笑顔で電話を指し示してくれたので、私はありがたく使わせてもらうことにした。
何度もかけたので覚えてしまった翼の携帯電話の番号を押す。

 

 

ポケットの中で携帯電話が震えた。
取り出して番号を見ると、知らない電話番号だ。
ということは、葵がどこかの電話を使ってかけてきたのかもしれない。
俺は急いで電話に出た。
「もしもし! 葵か?」

 

 

『現在、この電話は通話中です』
「はへ? 話し中だ・・・・・・」
翼に電話をかけたのに、受話器越しに聞こえたのは翼の声ではなく機械音声だった。
私は受話器を置く。

 

 

「・・・・・・こんな時に紛らわしいことすんな!」
電話を切った俺は、苛立ちを露わにした。葵かと思った番号は、間違い電話だった。
電話に出るなり「葵か?」なんて言ってしまった自分が恥ずかしい。
ったく、もしも今の間違い電話の最中に葵が電話してきてたらどうしてくれんだよ。
「ま、そんな偶然あるわけないか」
そしてまた俺は待つ。ひたすら待つ。

 

 

さっきの電話から5分経ったので、お巡りさんにお願いしてもう一度電話をかけさせてもらうことにした。
「今度は出てくれるといいな・・・・・・」
コール音がする。私は固唾を飲んで翼が電話に出るのを待つ。

 

 

さっきの間違い電話から数分後、また知らない番号からかかってきた。
先程の怒りがまた込み上げてくる。俺は電話に出た。
「はい、もしもし!? また間違い電話か!?」

 

 

コール音が止まった。翼が電話に出たのだろう。
私が話そうとした瞬間、受話器の向こうから怒った声が飛んできた。

 

『はい、もしもし!? また間違い電話か!?』
「ま、間違い電話? はわわ、ボク間違えちゃった・・・・・・」
『ん・・・? もしかして葵か!?』
「間違い電話してすいません! 失礼しま――」
『ストップ! ストップ! 違うよ、俺、俺だよ!』
「おれおれ詐欺には、引っ掛かりません!」
『違うって! だから俺! 翼!』
「はへ? 翼なの?」
『そう、俺! ごめんな、さっき間違い電話があったからまたかかってきたかと思って。それより今どこ?』
「えっと、警察にいるよ」
『け、警察? まさか何か事故に巻き込まれたのか?』
「ち、違うよ。そうじゃなくて、道を訊こうと思ったら手袋拾って警備員と間違えてお巡りさんに交番の場所を教えてもらって手袋を届けただけだよ」
『えっと・・・・・・よくわかんねぇけどとりあえず、事故とかじゃないんだな?』
「う、うん。ボクならダイジョブダイジョブ♪ あ、そんなことより翼、遅刻してごめんね!」
『いや、俺なら大丈夫だ。今から来れるか?』
「それがツリーの場所わからなくて・・・・・・」
『そっか、じゃあメモあるか? ・・・・・・いや、俺が迎えに行くよ。今どこ?』
「交番!」
『いや、交番はわかってるけど、どこの交番?』
「えっと・・・・・・ちょっと待ってね、お巡りさんに訊くから」

 

「あのー、すいません」
「はい、何かな?」
「ここってどこですか?」
「え? 坂江だけど」
「ありがとうございます!」

 

「あ、もしもし、翼?」
『おぅ。どこだって?』
「坂江だってー」
『・・・・・・』
「あれ? もしもーし」
『あ、いや、聞こえてる。えっとさ、そこにいる警官に代わってもらえるかな?』
「お巡りさんに? わかったー」

 

「あのー、すいません」
「はい、何かな?」
「電話に代わってくださいって、翼が」
「え? なんで? ・・・・・・はぁ、わかりました」

 

『はい、お電話代わりました』
男の人の声がした。警官と話をするのは緊張するが、俺は要件を簡潔に伝える。
「あ、すいません。葵――そこの女の子、説明するのが苦手でして。そこの交番の場所を教えてもらえますか?」
警官が丁寧に説明してくれたおかげで、大体の場所がわかった。
「はい、ありがとうございます。今から行きますので、その女の子を絶対にそこから出さないでください」
『わかりました。お気をつけて』
俺は携帯電話をポケットにしまうと、交番に向けて歩きだした。
「まったく・・・・・・いつになったら会えるんだか」
待ち合わせの時刻から、1時間と45分が経過していた。

 

 

 

続く

 



また「もろたび。」を読んでくれたら嬉しいです。
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