【中篇小説】メリークライシス! -1. Where are you?-

【中篇小説】メリークライシス! -1. Where are you?-

 

こんにちはなの!モロくんなの!

こっけ~:「モロのかいぬし、こっけ~ですー。今日は久しぶりに小説!」

今回はクリスマスのお話なの!

 

※ 目次はこちら。

 

 




 

 

 

メリークライシス!

 

えっと・・・・・・ども、中田 翼です。
俺のことを知らない人は、『キミと夏の終わり』を見て下さい。長いけど。
ま、読んでなくても別に大丈夫だけどな。でも読んどいた方がこっちの話をより楽しめるんだって。
っていうのが作者からの伝言。まったく、キャラに説明させるなよな・・・・・・。

 

 

 

 

メリークライシス!
-1. Where are you?-

 

 

 

 

12月24日。
街がイルミネーションに飾りつけられ、寒さには相応しくない程の活気にあふれる日。
ま、遠回しな表現しなくてもいっか。
今日はクリスマスイブ。恋人たちにとっては特別な日で、そして
「さみー・・・・・・」
待ち合わせをしている俺にとっても特別な日。話は3日前にさかのぼる。

12月21日、青陽学園高校、2学期の終業式の日。
全校生徒が体育館に集められて、冬休みの諸注意やら何やらを聞いて。
そしてホームルームの時間で、あまり芳しくない成績表を頂いたら2学期は終了。
学校は午前中で終わりなので、クラスメイトたちは長い放課後を満喫しようと友人同士で固まる。
そして俺は友人ではなく、一人の女子生徒の元へ向かった。
「葵」
「あ、翼! どしたのー?」
呼びかけると飛びっきりの笑顔で振り向いてきた女子生徒は日向 葵。ショートカットが似合う可愛い子で、俺にとっては特別な人。
ま、遠回しなめんどくさい表現しなくてもいっか。(2回目)
日向 葵は俺の彼女。夏の終わりに付き合い始めたので、もうすぐ交際4ヶ月。ケンカもなく仲良くやっている。
「あのさ、クリスマスのことなんだけど――」
「あ、それ! クリスマス!」
葵は俺の言葉を遮り、そして
「翼、クリスマスの日って予定空いてる?」
「・・・・・・」
反対に尋ねてきた。突拍子もない返しに俺は言葉が出ない。
「・・・・・・はへ? もしかしてもう予定あった?」
「そ、そんなことない! 空いてる!」
無言の俺を見て葵が不安そうな表情をしたので、俺は勢いよく答えた。
いやさ、空いてるかと言われれば空いてるさ。というか空けてるさ。
でもさ、俺から聞きたかったわけよ、クリスマスの予定。
・・・・・・というか、前にも同じようなことなかったっけ?
「よかったー!」
しかし俺のぐだぐだとした考え事は、満面の笑みの葵を見て一気に瓦解する。
「それで、クリスマスがどうかしたか?」
まるで”クリスマスなんて何も気にしてないですよオーラ”を装う俺。あぁ、もう! なんでそこで素直になれないかな?
「うん! あのねー、クリスマスの日にあやめちゃんたちとクリスマスパーティーするんだけど、翼も来ないかなって」
「・・・・・・」
また俺は言葉が出なかった。予想外のカウンターパンチが俺にクリーンヒット。
「・・・・・・はへ? もしかしてやっぱり予定あった?」
「いや! 空いてる!」
いやさ、空いてるかと言われれば空いてるさ。というか空けてるさ。(2回目)
でもさ、俺は葵と二人で過ごしたかったわけよ、イブの日はさ。
「じゃあクリスマスの日はみんなでパーティーねー!」
「お、おぅ」
嬉しそうな葵と対照的に少し落ち込む俺だが、葵の言葉に一つ引っかかった。
「・・・・・・ん? 葵、今『クリスマスの日』って言った?」
「はへ? うん、そーだよー」
「ってことは25日?」
「うん」
なんだか希望が見えてきた気がする。
「葵、24日って空いてる?」
「24日? うん、空いてるよー」
よっしゃあああ!!
俺は葵に気付かれないように、小さくガッツポーズをした。
「じゃあさ、24日にデートしようぜ!」
「いいけど・・・・・・でもそしたら2日連続にならない?」
いや、葵の友達と一緒に開くクリスマスパーティーをデートにカウントしないでほしい。
「いや、その・・・・・・イブは葵と、二人っきりで過ごしたい、と思って・・・・・・」
言いながら恥ずかしくなってきて、語尾が段々小さくなってしまう俺の台詞。
でもその言葉はちゃんと届いたみたいだった。―――あまり聞かれたくない人物に。
「にゃは! 葵ちん、デートのお誘いだ~!」
どこからともなくいきなり上田 あやめが出現して、葵に後ろから抱きつく。
「はわわ、あやめちゃんかー。びっくりしたー」
「葵ちん~、イブは恋人同士で過ごさないと~」
上田 あやめは葵の親友だ。天然で抜けてる葵とは正反対のタイプだが、だからこそ仲がいいのかもしれない。
「そーなの?」
「そだよ~! 実はね、翼っち。葵ちんったらイブの日にパーティー開こうと思ってたもんだから、あたしが止めといたのよん」
上田は意味ありげな目線で俺を見た。冷やかされているようで気恥かしいが
「上田・・・・・・ナイス」
「どいたま~」
八重歯を見せて笑う上田。上田の機転おかげで葵とデートすることができる。
「えっと・・・・・・そんなわけで葵、イブの日いいか?」
「うん、OK!」
イブの日にデートの約束を取り付けて舞い上がりそうになるが、これ以上上田に冷やかされるのも癪なので抑えた。
「じゃあ今夜また電話する・・・いや、してもらえる?」
「あれ~? 翼っち、自分からかけないの~?」
上田が俺に訊いて、俺は理由を答える。
「だって葵、携帯電話持ってないから家の電話だろ? 親父さんとか出たら超気まずいじゃん」
前に葵に電話をかけようとした時、葵のお父さんが電話に出て、葵に代わってもらうまでに20分くらい質問攻めされたことがある。
「あ、それならダイジョブだよー。今日お父さん帰り遅くなるからー」
「マジで? じゃあ俺からかけるよ。8時くらいかな」
「わかったー、待ってるねー!」
こうして約束を取り付けた。この後も一緒にいたかったけど、今日はサッカー部の練習があるんだよ。
それはともかく一つ教訓。「クリスマスイブ=恋人の日」なんてものは葵には通じないから、予定は早めに抑えること。

そして電話で待ち合わせ場所と時間を決めて、今日に至る。
あの日、葵が言った通り葵の親父さんは電話に出なかったものの、代わりに葵の妹、瑞希ちゃんが出て10分くらい質問攻めにされた。
葵の親父さんに俺たちのことを根掘り葉掘り訊かれた時も困ったけれど、瑞希ちゃんはなかなか際どい質問ばかりしてきて違う意味で困った。(あの子ホントに中2か?)
「それにしても・・・・・・来ねぇな」
俺は寒さに震える。今日は曇りということもあって、気温はかなり低い。天気予報でも寒冷前線がどうのこうのって言ってた。
今俺がいるのは豊徳市きっての繁華街、坂江にある巨大クリスマスツリー前。10mはあろうかという大きなもので、クリスマスシーズンには絶好の待ち合わせの場所になっている。
ここで待ち合わせをする人は多い。といってもツリー自体が大きいので人は密集しないから、人混みで待ち合わせ相手が見えないということはないけどな。
約束の時刻を10分過ぎているが、葵はまだ来ていなかった。まぁ葵が遅れてくるのはいつものことだけど。
そして待ち合わせ時刻の30分前に俺が来たのもいつものことだけど。
そんなわけで30分+10分=40分寒空の下で待っているわけで、体の感覚が徐々に麻痺してくる。
喫茶店とかで待ち合わせにすればそんなことないんだろうけど、俺の家はそこそこ貧乏なのであまり無駄金は使いたくない。
あ、無駄金っていうのは待ち合わせのために使うくらいなら、デート費用に回したいってことだからな。
「しっかし・・・・・・来ねぇな」
約3分のサイクルで同じことをリピートする俺。それでも葵に怒りが湧かないのは天然に対する諦めか、それとも惚れた弱みか。
目の前をたくさんの人が通り過ぎていく。クリスマスイブだけあって、カップル率が非常に高い。否、異常に高い。
今日は月曜日だけど、昨日の天皇誕生日が日曜日だから振り替え休日で休みになったので、例年よりもさらにカップル率は高いのではないのだろうか。
あちらこちらで楽しそうな笑顔、笑い声。俺ももうすぐそっち側になれると思うと、今からワクワクしてくる。
デートプランは大まかに立ててある。といっても高級レストランを予約するような経済力はないから、そこそこの場所になるけど。
クリスマスプレゼントも買ってある。こっちはけっこう奮発した。これを買うためにかなりの節約生活を余儀なくされたが、葵の喜ぶ顔を見られるのなら苦にならない。
・・・・・・心底葵に惚れてるんだな、俺って。そう考えると、この待ち時間でさえなんだか楽しいものになってくる。早く来ねぇかな。

 

 

 

「・・・・・・」
しかしその高揚感も、時間が経てば焦燥感に代わる。
待ち合わせの時間から30分が過ぎた。いくら葵が遅刻常習犯だとしても、これは異常だ。
だがこっちから連絡を取ろうにも、葵は携帯電話を持っていない。
仮に寝坊だとしても、葵から俺の携帯電話に連絡することはできるはずだ。
・・・・・・まさか、まだ起きてすらいないとか?
一抹の不安を覚えた俺は、葵の自宅に電話することにした。葵のお父さんが出たら気まずいが、今はそんなことを言ってられない。
Trrrrr・・・・・・。
コール音が数回。そして
「はい、日向です」
成人男性の声。葵のお父さんが出たら気まずいが、今はそんなことを言ってられない。言ってられないけど
「あ、あの、な、中田 翼です!」
「・・・・・・中田君か」
や、やっぱり気まずすぎる!
「あ、あの、本日葵さんと会う約束をしているのですが、葵さんはまだご在宅でしょうか?」
「はて。葵ならとっくに家を出たのだが・・・・・・」
「え」
とっくに家を出たというのなら、なぜまだ待ち合わせ場所に現れていないのだろうか。
場所を間違えてる? それとも事故か何かに巻き込まれた? それとも――
「しかしやけに嬉しそうに家を出たと思ったら中田君と会うためだったとはな。ふむ、そうか・・・・・・」
「は、はい・・・・・・」
「去年までは家族でパーティーを開いておったのに、今年は家族で過ごせないとは・・・・・・」
話が何やら嫌な方向に流れてきた。葵が家を出た事もわかったし、ここは早めに切り上げた方がよさそうだ。
「あ、あの! ありがとうございました! 失礼します!」
「・・・・・・あぁ。くれぐれも、学生らしくない、節度のない行動は控えるように」
「は、はい!」
俺は電話を切った。なんかすごく疲れた。それにしても
「葵は一体どこにいるんだ・・・?」
群衆を前に、俺は一人呟いた。

 

 

 

続く

 

 



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こっけ~:「冒頭の部分とか、完全にはやみねかおる先生の影響を受けてますねー」

ところで、前編と中編まで更新されている小説の続きはどこへ行ったなの?

 

こっけ~:「鋭意製作中なので、こっけ~先生の次回作にご期待下さい!」

それ、打ち切られる常套句なの!

 

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