【実話小説】トルクメニスタンに違法滞在した話 〜第三話・いざ、国境へ〜




トルクメニスタン。

それは、中央アジアに位置する、国土の多くは砂漠に覆われた内陸国である。
かつてはソビエト連邦に属しており、現在は「中央アジアの北朝鮮」とも呼ばれる独裁国家だ。

と聞くと、悪いイメージが頭に浮かぶんじゃないかな。
劣悪な経済状態と生活環境の中、人々は恐怖政治に怯えながら暮らす―――
しかし、実際は全く違っていた。そこに何があり、人々はどのように暮らしているのか。
これは、ボクがトルクメニスタンという未知なる国に滞在して実際に体験した7日間の記録である。


 
こんにちは、モロの飼い主です。
トルクメニスタンで体験した実話小説の続きです。
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トルクメニスタン入国前日の夜。



ボクは、困っていた。



ビザの申請に苦労し、指定された日に受け取りに行ったらまだできていないと言われ、ビザを国境受け取りできるようお願いした。
トルクメニスタンビザの開始日、つまり明日は、ボクのウズベキスタンビザの最終日と重なっているため、ビザを受け取れないとボクはウズベキスタンに違法滞在になってしまう。
そんな心配をしていたが、先ほど大使館に確認の電話をかけて、国境でビザを受け取らせてもらえることが分かり、胸を撫で下ろした。

だが。

なぜだかわからないが、一緒にトルクメニスタンへ行くはずだった相方はビザがまだできていないと言われた。
しばらく電話口で粘っていたが、明日にはできないとの一点張りで、向こうが言うビザが出来上がる頃には、彼のウズベキスタンビザの期限が切れてしまう。
不幸中の幸いにも、彼のウズベキスタンビザはあと3日ほど残っていたので、彼は慌ててウズベキスタンを出国するルートを調べていた。
ウズベキスタンからの航空便はとても高いらしく、他の国へ陸路で抜けるルートを探すようだ。

「明日から一人か〜・・・・・・」

ボクは一人ごちる。もちろん、急遽ルート変更になってしまった彼の気苦労と比べれば大したことはないのかもしれない。今までの旅もほとんど一人旅だった。
だが、これから行くのは未知なる国・トルクメニスタン。
国内では基本的にインターネットが使えないらしいので、一度入国してしまえば情報収集できない。
一昔前の旅人はそれが当たり前だったのだろうが、検索も予約もネットでできる時代の旅人であるボクにとって、それは困難なことのように思えた。
それに加えて、朝から体調が悪い。熱を測ったら、なんと39度5分もあった。
しかも、トルクメニスタンを旅した人のブログを読むと、入国時に体温を測られたらしい。
わざわざメディカルチェックをするということは、何らかの対策をしているということで、「平熱が高めなんです」なんて言い訳では通じないこの体温はどのように判断されるのか。
もしも入国審査を断られるようなことがあれば、ウズベキスタンビザは一度出国すれば無効になるので戻ることもできず、両国の国境の狭間で途方に暮れることになってしまう。
多くの不安材料を抱えたまま、汗をかいて少しでも熱を下げるべく、毛布に包まってボクは眠りについた。







そして、トルクメニスタン入国当日。
昨日に比べて気怠さは軽くなっていたが、再び体温計を借りて体温を測ると、まだ38度あった。
宿のおばちゃんによると、トルクメニスタン行きのマルシュルートカはヒヴァの旧市街を挟んで反対側にある市場のあたりから出るらしい。
朝ごはんを食べて、おばちゃんに数日間のお礼を告げ、一緒にトルクメニスタンに行けなくなった相方には無事に出国できるようにあいさつをして、宿を出た。

ウズベキスタンの通貨は、公定レートと市場レートに倍くらいの差があるくらいなので、出国した後に再両替すると大きく損をしそうだ。
そのまま持っていてもただの紙切れになってしまうので、ボクは5000スムを残して市場でリンゴやビスケットなどを買い込んだ。
そして、マルシュルートカが出る10時になる前に、マルシュルートカが集まっている場所へ向かった。







「トルクメニスタン! マルシュルートカ!」

旅をしていますというとよく「英語は話せるの?」と聞かれる。

一人旅=英語が必要

そういう図式ができているのだろう。
しかし、ボクの答えは「2つの意味でNo」だ。
まず、英語はあまり話せない。せいぜい中学2年生レベルだろう。(最近クイズ番組で「tookの過去形は?」という中学生が85%正解している問題を間違えた。)
だが、Noという2つ目の理由、そしてボクが旅をできている理由。それは、「旅にそこまで高度な英語が必要ない」ということだ。
そもそも、英語圏の国というのは思っているよりも少ない。バックパッカーが行くような国ではなおさらだ。
そして、母国語ではないけど英語を話せる人というのは、ボクと同じように簡単な英語しか話せないことが多い。
そういう人達相手では、下手に不規則動詞の過去形にしたり、ましてや関係代名詞など使おうものなら通じない。(というかボクも使えないのだけど。)
だから、英語はあいさつ、数字、旅でよく使う英単語が少しあれば、文法などめちゃくちゃでも行けるというのがボクの持論だ。
そんな今までの旅の経験上、行きたい地名を言えば、周りの人が指をさしてくれたり連れてってくれたりする。
だから今回も

「トルクメニスタン! マルシュルートカ!」

とボクは街の人に訊いて回った。しかし、

「トルクメニスタン? ニェット(いいえ)」
「ウルゲンチ」

ウズベキスタンの人たちは優しいので、言葉が通じないアジア人相手でもちゃんと答えてくれる。
だが、一人としてトルクメニスタン行きのマルシュルートカを知っている人がいなかった。
そして、ウルゲンチという、ヒヴァから車で約1時間ほど離れた街に行けと言っていた。

ボクは、困っていた。

ここからマルシュルートカが出るものだと思っていて、残りのお金も少ししか残していない。
ウルゲンチへ行くにはトルクメニスタンの国境から一回遠ざかることになるので、お金が足りなくなるだろう。
ボクは一縷の望みにかけて何人もの人に尋ねたが、わからないと言われるかウルゲンチへ行けと言われるかのどちらかだった。
その時、ボクが訊いた人のうちの一人が、別の男性を連れてボクのところへ戻ってきた。そして彼は、

「あなたは英語を話せますか?」

ボクなんかのレベルを遥かに超える流暢な英語で、彼はボクに訊いた。

「ダー! ダー!(ロシア語で「はい」)」

なぜか英語で訊かれたのにロシア語で答えてしまったが、これは好機だ。

「トルクメニスタンに行きたいんだけど、マルシュルートカはどこから出ているの?」
「ここからは出ていないよ。ウルゲンチへ行かないといけない」
「そうなんだ・・・・・・。ここから出ていると訊いたのだけど」

すると彼は現地の言葉に切り替えて周りの人にいくらか尋ねて、そしてボクに向き直ってこう言う。

「誰も知らないみたい。ウルゲンチへ行くなら案内するよ」
「それが、あと5000スムしかないんだ・・・・・・」
「大丈夫。僕が君の分を払うよ」

突然ボクの前に現れた英語が堪能な彼は、まさに救いの神だった!







彼に連れられて、彼とボクはウルゲンチ行きのミニバスに乗り込んだ。
なんとウルゲンチまでも一緒についていってくれるらしい。
車中でいろいろな話をした。

「ウズベキスタンは好きかい?」

と訊かれて、ボクはお世辞でも何でもなく、心の底から

「大好き! また来たい!」

と答えた。今この瞬間を含めて、ウズベキスタンの人は本当に優しい。
1時間後、ウルゲンチのバスターミナルに着くと、今度は別のマルシュルートカへ連れて行かれる。
彼はドライバーに二言三言伝え、さらにボクの分のお金を渡した後、ボクに言った。

「トルクメニスタンに行く乗り合いタクシーの場所へ連れて行ってもらうよう言っといたから。お金も払っておいたよ」

ありがとう、という言葉だけでは足りないくらい、彼はボクによくしてくれた。
通りすがりの、得体の知れない異国人に対してなぜこうにも優しくしてくれるのだろう。
ごくごく一部のムスリムの過激な行動のせいで誤解されがちだが、本来のムスリムは本当に本当に優しい人たちなのだ。


(真ん中にいるのが彼。周りにいるのは写真に写りたくて入ってきた人・笑)

ボクは何度も何度もありがとうと彼に言って、マルシュルートカに乗り込んだ。



しばらく走った後、ドライバーはここだよと教えてくれた。
終点でもないのにドライバーはわざわざ降りてくると、乗り合いタクシーの人とボクを引き合わせてくれた。
さらになんと、次の運転手にお金まで払ってくれているではないか!
ウルゲンチまで連れて来てくれた彼がそのお金も渡してくれていたのかもしれないけれど、そんなの知らないふりして自分の懐に入れることだってできるだろうに。
次のタクシードライバーはトランクにボクのかばんを入れると、最後の一人だったようですぐに車は出発した。





午後1時20分。ウズベキスタン側の国境についた。
賄賂を求めてくることもあるという噂があるが、全くそんなことはなく、呆気ないほどすんなりと出国させてもらえた。
ここからトルクメニスタン側までの国境までは少し距離があるので、車に乗らないといけない。
値段を訊くと、1ドルでも3000スムでも3マナト(トルクメニスタンの通貨)でもいいとのことらしい。
現地の人たちも同じ額を払っていたので、残っていた5000スムから3000スムを払って、車に乗り込んだ。



ほどなくしてトルクメニスタン側のイミグレーションに着いた。
噂には聞いていたが、いきなり前大統領の大きな写真があって、笑ってしまう。
しかし、気を引き締めなおなさいといけない。
いろんな人に優しくしてもらい幸せな気分に浸っていて忘れていたが、ボクはまだトルクメニスタンビザを持っていない。
昨日、国境で受け取れるという確認の電話はしたものの、ビザ申請も、指定された日に大使館で受け取ろうとした時も一筋縄ではいかなかったのだ。
それに加えて体温を測られるらしいのに、数時間前に測った時は38度あったのだ。そこで弾かれてしまう可能性もある。
ボクは緊張の面持ちで、トルクメニスタンへの第一歩を踏み出すべく、ドアを開けた。





第四話へ続く
 
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